本日はこのように多くの皆さまにご参加いただき、本当にありがとうございます。また、本日の特別講演で座長を務めていただく旭川厚生病院緩和ケア科部長の中西京子先生、そして、講演の講師を快く引き受けてくださいました、神戸大学大学院医学研究科特命教授の木澤義之先生、北海道医療大学名誉教授の石垣靖子先生の御三方に、心から感謝申し上げます。
さて、慶友会グループで医学講演会を開催するのは久しぶりのことです。前回の講演会から5年の歳月が経ってしまいました。今回の講演会は、「緩和ケア病棟」の開設を記念して行うものです。この施設には前理事長の熱い思い入れがたくさん詰まっています。
吉田病院では、旭川地区では、旭川厚生病院についで2番目となる緩和ケア病棟を、この8月に11床で開設し、9月1日より本稼働を開始しました。吉田病院緩和ケアセンターの開設は、故吉田威・前理事長の夢であり、そして故市村方子副院長の願いでもありました。吉田良子現理事長のご指導により、実現に至ったものであります。まだ動き出したばかりです。今後の発展には、この地域のクリニックや病院、そして市民の方のご理解ご協力が必須であると考えます。
講演会は、第一部として当院緩和ケア病棟の紹介があります。
の6つの項目にて緩和ケアセンターを紹介しております。
吉田病院ではがんと診断されたときから、緩和チームが、外来・一般病棟において緩和ケアの促進を行い、がん治療が難しくなった段階では緩和ケア病棟において、痛みを和らげるケアを行っています。
緩和ケアとは苦痛の緩和と残りの人生を支えるケアであること。緩和ケアの歴史は中世ヨーロッパのホスピスから始まって今につながっている。これからの緩和ケアに求められるものとして、診断時からの継続的な緩和ケア、外来での緩和ケア、意思決定支援の実践や地域への緩和ケアの視点が必要。自分たちも生命の危機に直面する疾患を持つ患者と家族のケアについて、多職種チームによる連携、地域との連携を積極的に進めている。
医学に限界がある中で、1人の人間として、治らない患者さんとどうやって一緒に生きていくかを考え続けているという講演内容となっております。
『患者さんは人間です。誰もが固有の名前、歴史、価値観を持ち、一度きりの人生を生きています。そんなかけがえのない存在として接してくれることを求めている。患者さんにとって誰かとつながることは心強く、その人生に触れること寄り添うことがケアになる。』時にゆっくり、時に強い口調で訴えるように話されました。
中でも、『最期の最期までその人の内にある健康な力や残された機能をよく見定め、その力を充分に使って生を全うできるよう、生活課程を整えていくのが看護師の役割。』という先生のお言葉は色々な職種の方と情報を共有し、患者さんのために今何ができるのかを考え、相手をわかろうとする気持ちをいつも持っていたいと再確認させて頂く講演内容となっております。
当日は小雨の降る中450名の参加をいただき、病院内はもちろん地域の皆様からの関心も高まっている事を感じさせられました。特に、遠方からお忙しい中講演のために来てくださった木澤先生・石垣先生、当院のスーパーバイザーとして緩和ケアの相談に快く力を貸してくださっている中西先生の御配慮に深く感謝いたします。今回の講演会で学ばせて頂いた事を活かし、チーム医療を基本とした患者様中心のケアを考える事、また地域の皆様に痛みを和らげる場所があるという事をお伝えしていく努力をしていきたいと存じます。参加者の皆さんから頂いたアンケートでは、もう一度お聞きしたいというご希望の他、在宅医療に関する事、高齢者に関する事、地域に向けた医療・福祉システムについてなどの講演のご要望がございました。どれも、最近の社会情勢を踏まえた関心事であるため、実現に向けて情報を収集し開催に向けて努力いたします。
今回の講演会は慶友会の貴重な歴史となる講演会になりました。開催するにあたり尽力くださった関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
皆様多くのご参加ありがとうございました。