緩和ケア

講演会のご報告


講演会


ご挨拶

緩和ケア講演会開催にあたり

 本日はこのように多くの皆さまにご参加いただき、本当にありがとうございます。また、本日の特別講演で座長を務めていただく旭川厚生病院緩和ケア科部長の中西京子先生、そして、講演の講師を快く引き受けてくださいました、神戸大学大学院医学研究科特命教授の木澤義之先生、北海道医療大学名誉教授の石垣靖子先生の御三方に、心から感謝申し上げます。
 さて、慶友会グループで医学講演会を開催するのは久しぶりのことです。前回の講演会から5年の歳月が経ってしまいました。今回の講演会は、「緩和ケア病棟」の開設を記念して行うものです。この施設には前理事長の熱い思い入れがたくさん詰まっています。

 「慶友会の理念である『心ある医療』を通して、癌に苦しむ患者さんの力になりたい。」そんな想いを慶友会のスタッフ一人ひとりがしっかりと受け継ぎ、力を合わせて来たからこそ実現できた施設です。当然のことではありますが、人は生まれて必ず死んでいきます。これはすべての人に等しく与えられた運命であり、新しい命をつなぐために必要なことです。2013年に全身癌であることを告白した樹木希林さんは、ある広告でこのように語っています。「人は必ず死ぬというのに。 長生きを叶える技術ばかりが進歩してなんとまあ死ににくい時代になったことでしょう。死を疎む(うとむ)ことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです。」と。そして、生きるのも日常、死んでいくのも日常とも語っています。彼女の言う通り、死に方は人生の一環です。特に、癌で少しずつ生命を削られる人にとって、毎日感じる落ち込みや体の苦痛は耐えがたいものです。しかし、病気が見つかった後もその人の人生は続いていきます。別の見方をすると、病気が見つかった時点から新たにその人の人生の最終章が始まるのです。慶友会グループではそうした癌患者さんに対して、画一的ではない、個々にあった緩和ケアの確立を目指します。そして、少しでも患者さんの苦痛がやわらぎ、人としての尊厳を維持して生きられるように努めていきます。本日の講演を通して、ここにいる皆さん一人ひとりが、少しでも正しい緩和ケアへの理解につながりますよう期待して開会の挨拶にかえさせていただきます。

医療法人社団慶友会 吉田病院
理事長 吉田 良子
緩和ケアとは

開会のご挨拶

 吉田病院では、旭川地区では、旭川厚生病院についで2番目となる緩和ケア病棟を、この8月に11床で開設し、9月1日より本稼働を開始しました。吉田病院緩和ケアセンターの開設は、故吉田威・前理事長の夢であり、そして故市村方子副院長の願いでもありました。吉田良子現理事長のご指導により、実現に至ったものであります。まだ動き出したばかりです。今後の発展には、この地域のクリニックや病院、そして市民の方のご理解ご協力が必須であると考えます。
 講演会は、第一部として当院緩和ケア病棟の紹介があります。

病棟開設に当たり、多くのスタッフが、旭川厚生病院、東札幌病院、札幌清田病院、札幌南清州病院などの先行施設を見学し、研修を受けてまいりました。この場を借りて御礼申し上げます。また、すでにご協力をいただいております傾聴ボランティアの米本様、音楽療法の菅野様、これからアニマルセラピーのご支援をいただく「緑の森動物病院」の皆様に深く感謝します。 第二部では、緩和ケア教育の、日本における指導者である、神戸大学の木澤教授、北大、東札幌病院で、がん看護学の実践、研究を続けてこられた、北海道医療大学名誉教授の石垣先生のご講演をいただきます。司会には、吉田病院の緩和医療全般のご指導をいただいており、また当緩和ケアセンターの開設に、甚大なご協力いただきました、旭川厚生病院緩和ケア科・中西先生にお願いしました。
 この講演会が地域の方々の、緩和ケアに対する理解を深め、当緩和ケアセンターの飛躍の端緒となりますことを祈念して、開会挨拶とさせて頂きます。
医療法人社団慶友会 吉田病院 院長
横田 欽一
緩和ケア病棟について

開設報告

緩和ケア病棟の紹介

  • 田中まゆみ看護師長より、
  • 1.緩和ケアについて
  • 2.緩和ケア病棟について
  • 3.吉田病院の緩和ケア体制のご紹介
  • 4.吉田病院緩和ケア病棟のご紹介
  • 5.緩和ケア病棟の生活
  • 6.緩和ケア病棟の入院の流れ


の6つの項目にて緩和ケアセンターを紹介しております。


 吉田病院ではがんと診断されたときから、緩和チームが、外来・一般病棟において緩和ケアの促進を行い、がん治療が難しくなった段階では緩和ケア病棟において、痛みを和らげるケアを行っています。

 また、多職種による患者様中心のチーム医療を基本としてケアができる体制を整えています。地域の皆様に痛みを和らげる場所があること、緩和ケアの普及に努めていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
病棟での生活

講演会資料




特別講演

木澤先生

緩和ケア再考
 -腫瘍学と緩和ケアの統合(integration)と専門的緩和ケアの役割


 緩和ケアとは苦痛の緩和と残りの人生を支えるケアであること。緩和ケアの歴史は中世ヨーロッパのホスピスから始まって今につながっている。これからの緩和ケアに求められるものとして、診断時からの継続的な緩和ケア、外来での緩和ケア、意思決定支援の実践や地域への緩和ケアの視点が必要。自分たちも生命の危機に直面する疾患を持つ患者と家族のケアについて、多職種チームによる連携、地域との連携を積極的に進めている。
 医学に限界がある中で、1人の人間として、治らない患者さんとどうやって一緒に生きていくかを考え続けているという講演内容となっております。



神戸大学大学院医学研究科 内科系講座先端緩和医療学分野
特命教授 木澤 義之先生

石垣先生

「地域と共にはぐくむ緩和ケア」


 『患者さんは人間です。誰もが固有の名前、歴史、価値観を持ち、一度きりの人生を生きています。そんなかけがえのない存在として接してくれることを求めている。患者さんにとって誰かとつながることは心強く、その人生に触れること寄り添うことがケアになる。』時にゆっくり、時に強い口調で訴えるように話されました。
 中でも、『最期の最期までその人の内にある健康な力や残された機能をよく見定め、その力を充分に使って生を全うできるよう、生活課程を整えていくのが看護師の役割。』という先生のお言葉は色々な職種の方と情報を共有し、患者さんのために今何ができるのかを考え、相手をわかろうとする気持ちをいつも持っていたいと再確認させて頂く講演内容となっております。



北海道医療大学 名誉教授 石垣 靖子先生

アンケート結果

グラフ

アンケート結果
来場者の方から、貴重なご意見を頂戴しております。
若干ではありますがこの場を借りてご紹介させて頂きます。

  •  ・私の母が3年前、厚生病院の緩和ケア病棟で亡くなりました。今でも福祉に関わっているものとして「どうして助けられなかったんだろう」という思いにかられています。是非、緩和ケアという言葉が皆さんにわかっていただけるような活動をお願いします。講演会・研修会があれば案内していただきたいと思います。
  •  ・地域の者として緩和ケア病棟が吉田病院にあると知り、とっても心強いと思いました。いい話も聞かせてもらい、石垣先生の話がためになりました。
  •  ・石垣先生の講演を聞き、感動し日頃のケアを再構築する機会となりました。私たちの出来ることしなければいけないことを再認識しました。何度聞いても学ぶことが多いです。木澤先生のお話にも今後の緩和ケアのうつろいを感じました。
(アンケートの一部抜粋)

※アンケート一覧は右のアンケート結果で確認することができます。

皆様ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

講演会を終えて

 当日は小雨の降る中450名の参加をいただき、病院内はもちろん地域の皆様からの関心も高まっている事を感じさせられました。特に、遠方からお忙しい中講演のために来てくださった木澤先生・石垣先生、当院のスーパーバイザーとして緩和ケアの相談に快く力を貸してくださっている中西先生の御配慮に深く感謝いたします。今回の講演会で学ばせて頂いた事を活かし、チーム医療を基本とした患者様中心のケアを考える事、また地域の皆様に痛みを和らげる場所があるという事をお伝えしていく努力をしていきたいと存じます。参加者の皆さんから頂いたアンケートでは、もう一度お聞きしたいというご希望の他、在宅医療に関する事、高齢者に関する事、地域に向けた医療・福祉システムについてなどの講演のご要望がございました。どれも、最近の社会情勢を踏まえた関心事であるため、実現に向けて情報を収集し開催に向けて努力いたします。
 今回の講演会は慶友会の貴重な歴史となる講演会になりました。開催するにあたり尽力くださった関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

緩和ケアセンター開設記念講演会事務局

皆様多くのご参加ありがとうございました。

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