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中田靖泰

帰ってきたテレフォンカード

社会福祉法人慶友会の理事でもある、中田靖泰先生にお言葉をいただきましたので、ここに掲載させていただきます。

ある日、札幌市立図書館から電話がありました。「あなたが図書館からお借りになった本の中にテレフォンカードをお忘れになりませんでしたか?」という電話でした。確かに私は大事にしていたあるテレフォンカードがどこにいってしまったのかと探していたところでした。そのテレフォンカードは私の母校札幌一中(現札幌南校)が2000年夏の甲子園に出場したときの記念のテレカです。これはその時甲子園でなければ買えないもので私たちには非常に貴重なものです。テレカを使う機会もなくなり、いつしか本のしおりとして使っていたものを図書館から借りた本の中に挟んだままうっかり返してしまったのです。その係の方は本の中にテレカを見つけ、これは持ち主には貴重なものに違いないと思い、その図書の貸し出し記録を調べ、やっと私にたどりついたということでした。都合の悪い記録や記憶はすぐになくしてしまうけれど、忖度だけは長けている公務員が多い中で、本当に市民のために働いている公務員がいる札幌市はすごい、日本はまだ見捨てたものではないと思いました。そしてそのような対応をする職員を「余計なことをするな」などと言わずに暖かく見守った上司、同僚も立派だと思いました。

慶友会は「心ある医療」を目指しています。職員も職務規定通りの仕事をするだけのロボット職員では血の通った暖かい医療はできません。病院にお出でになる患者さんの様々な願い、痛みに寄り添った暖かい対応が出来る職員を育てたい。ノレッジ(知識)、スキル(技術)だけでなく、この図書館員のようなハート(心)をもった職員を育てたいと帰ってきたテレフォンカードを見ながら思いました。

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