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中田靖泰

新年に思う。己を知れ。

2019年、明けましておめでとうございます。皆さんも様々な思いで年を迎えられていることと思います。私も年ごとにその年の目標と言うか、夢と言うか、そんなものを定めて年を迎えたものでした。例えば、「今年は今まで行ったことのないあの国に行くぞ」とか「あの作家の本を全部読むぞ」とかです。うまく達成できたこともあるし、夢まぼろしのごとく消えてしまったこともあります。しかし、数年前から目標をたてて前に進むというよりも、自分を見つめるという方が多くなりました。自分はどんな生き方をしているか。するべきなのか、ということです。最初に心に浮かんだのが有名な福沢諭吉の「心訓」でした。

5番目に「世の中で一番尊いことは、人のために奉仕して決して恩にきせないことです」とあります。確かに奉仕することはそれほど難しいことではありませんが、それを恩に着せないことは難しいことです。最後の「世の中で一番悲しいことは、うそをつくことです」を読んでも「でも、本当のことを言えばいいというものでもないだろう」と思ったりします。まだ、諭吉の境地に達していないということでしょう。

同じ「心訓」で、「心戒十訓」というのもあります。これは私はかなり気に入っています。「人間関係は相手の長所と付き合うものだ」は特に心に響きました。その人の欠点ばかり探して嫌っていた人がいはしないか。自分だって欠点だらけの人間なのに。「挨拶はされるものではなくするものである」「言葉で語るな。心で語れ」も「仕事は言われてするものではなく、探してするものだ」も心に残ることばです。

こういうのを見ていると自分が描いてきた「自分像」が揺らいでくることがあります。「つもりちがい10か条」です。例えば最初の「高いつもりで低いのが教養」などは苦笑するだけで済みますが、 7番目の「根性」。自分はかなりの「頑張りや」だと思っていたけれど果たしてそうだったか、と反省させられます。さらに積極的に「~してはいけない」という「ならぬもの十訓」というものまであります。

皆さん、「四規七則」というのをご存知だと思います。お茶の世界で「利休七則」ともいわれています。「四規」とは「和敬清寂」。七則もその他のお茶の心得です。同じ「しきしちそく」でも、「士規七則」と書くと、これは吉田松陰が書いたものです。「忠君愛国、親に孝行」。教育勅語の原型みたいものです。

しかし,この手の「~~訓」「~~則」で最近有名になったのは何と言っても電通の「鬼十則」でしょう。東大出の新入女子社員が自死したということで、電通は一躍ブラック企業の親玉にされ、この「鬼十則」も社員手帳から削除されてしまいました。私の友人や後輩で電通に入った者が何人かいます。不思議なことに彼らは異口同音に「私が今日あるのは鬼十則のおかげだ」と言うのですね。同じ七則でも十則でも人により、読みかたにより全く違ってくるのですね。

しかし、「今の自分を超える」この気持ちがなければ進歩,向上は望めません。企業も同じです。「難しいと思ったら無理をせずにすぐ引きさがりましょう」を社訓にしたら企業も個人も決して成長しません。しかし、「死んでも放すな」と書けばブラック企業になってしまいます。どこまでが激励で,どの線を越えたらパワハラなのか、考えなければならない時代になりました。

皆さんも「社訓」などをお作りにならなければならない時もおありと思います。引用した中からいくつか添付しましたので、ご興味がおありでしたら目を通して己を顧みるのも面白いでしょう。でも皆さんは70歳になるまではこういうものを読んだり、作ったりするよりも、目標なり夢なりをしっかりと持って、前に、上にと進んでいかれる方がよいと思います。

福沢心訓

一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事ことです。

一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。

一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。

一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。

一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩に着せない事です。

一、世の中で一番美しい事は、すべての物に愛情を持つことです。

一、世の中で一番悲しい事は、うそをつくことです。

 

心訓十戒(丸山敏雄)

1.人を大切にする人は、人から大切にされる。

2.人間関係は、相手の長所と付き合うものだ。

3.人は何をしてもらうかより、何が人に出来るかが大切である。

4.仕事では頭を使い、人間関係では心を使え。

5.挨拶はされるものではなく、するものである。

6.仕事は言われてするものではなく、探してするものである。

7.分かるだけが勉強ではない。出来る事が勉強だ。

8.美人より美心。

9.言葉で語るな、心で語れ。

10.良い人生は、良い準備から始まる。

 

高尾山薬王院有喜寺

つもり違い十か条

●    高いつもりで 低いのが 教養

●    低いつもりで 高いのが 気位

●    深いつもりで 低いのが 知識

●    浅いつもりで 深いのが 欲の皮

●    厚いつもりで 薄いのが 人情

●    薄いつもりで 厚いのが 面の皮

●    強いつもりで 弱いのが 根性

●    弱いつもりで 強いのが 我

●    多いつもりで 少いのが 分別

●    少いつもりで 多いのが 無駄

 

 

鬼十則

◎仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。

◎仕事とは、先手先手と働きかけていくことで、受け身でやるものではない。

◎大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。

◎難しい仕事を狙え、そして成し遂げるところに進歩がある。

◎取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは.....

◎周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは永い間に天地の開きが出来る。

◎計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

◎自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。

◎頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものなのだ。

◎摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

 

 

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