肺がん検診に関する検討会の中間報告
日本では肺癌により年間5万5千人以上が死亡し、男性がん死亡原因の1位を占める。全肺癌の5年生存率は15%程度と予後不良な疾患である。肺癌の初発症状は咳(30%)、痰(10%)、血痰(10%)、胸痛,背部痛(10%)などであるが,無症状で胸部X線異常を示す症例が30%もある.
12月11日の厚労省「がん検診に関する検討会」は、その中間報告の中で肺がん検診については、
@検査の対象年齢は40才以上とする。
A検診方法は「胸部エックス線検査」と「喀痰細胞診検査」を推奨する。また「低線量CT」はエビデンスをみながら検討する。
B受診間隔は、2年ごとの検診は有効ではなく、「逐年検診」が望ましい。
慶友会
(07-12-19)
頭痛について
頭痛持ちは身の周りをみても案外多いのに驚きます。鈴木則宏先生(慶応大学内科教授)と間中信也先生(間中病院)の話を中心にまとめました。(ニュートンから)
頭痛には2種類「国際頭痛分類2版」国際頭痛学会2004年
●一次性頭痛 : 頭痛自体が病気。
「片頭痛」 「緊張型頭痛」 「群発頭痛」
●二次性頭痛 : 原因となる疾病にともなってあらわれる。
「くも膜下出血」 「脳腫瘍」 「髄膜炎」 ※二次性頭痛は命にかかわる可能性がある。
見分けるポイント!
@ これまでに経験したことがないようなタイプの痛み。
A 突然の強烈な痛み、手足のまひ、しびれ、けいれん、ろれつがまわらなくなる。
B 高熱、視覚の異常を伴う。
こんな時は、すぐに病院で診てもらうこと。
ここでは一次性頭痛について
■緊張型頭痛
最も多く、22%。頭部の筋肉の緊張によっておこる。はちまきで頭をしめつけられる、後頭部の痛みが長く続く。肩こりとなってあらわれることも多い。原因はストレス、姿勢の悪さ、まくらが合っていないなど。ストレッチやマッサージ、入浴で症状が改善する。これからの季節、二日酔いでの頭痛も、アルコールが分解されるときのアセトアルデヒドが頭部の血管を押しひろげて、痛みとなってあらわれる。
■片頭痛
日本人の8%が悩まされ、30才代の女性に多い。ズキンズキンと拍動性の痛み、吐き気を伴うこともある。片側だけでなく両側や頭全体が痛むこともあるので、間違えないように。緊張型頭痛とは逆に、体を動かしたり、風呂に入ったりすると症状が悪化する。発作がおきたら、静かな暗い部屋で安静にすること。発作の前兆として目の前に水晶のような輝きと影をもつギザギザ模様があらわれることが多い。このギザギザ模様を「閃輝暗点(せんきあんてん)」という。
片頭痛の原因は、頭部の血管の拡張。だからズキンズキンと痛む。遺伝的要因もあり、とくに母親が片頭痛なら子どもの半分がそうなる可能性がある。発作を誘発するものに、チーズやチョコレート、赤ワインがある。予防はマグネシウム(アーモンド、ひじき)とビタミンB2(牛、豚、トリの肝臓、ウナギ、牛乳、卵)。また、2000年に画期的なクスリが認可された。「トリプタン」(商品名イミグラン)で、発作時 のクスリとして服用、あるいは注射、点鼻液としてもでているので、効果をためしてみてはいかがでしょう。
心筋梗塞や動脈硬化を疑う病気を持っている人は使えません。くれぐれも医師と相談して使うようにしてください。
その他、転げまわるほど痛む「群発頭痛」がありますが、ここでは省略します。
慶友会
(07-12-19)
肺炎球菌ワクチン接種のすすめ
肺炎は死亡率では第4位だが、高齢者では肺炎が死亡の主因となっている。肺炎球菌ワクチンが70%の予防効果が認められている。これからの季節はインフルエンザの流行対策のひとつとして、インフルエンザ接種と同時に受けられるようにすすめます。
米国の肺炎ワクチンの普及率が65才以上では70%と比べて、日本では4%。インフルエンザワクチンは毎年ですが、肺炎ワクチンは3年に1度の接種でよろしいです。
慶友会
(07-11-19)
高学歴者ほど認知症による記憶力低下が急速に進行
米アルバート・アインシュタイン医科大学のグループが発表したもので、高学歴者ほど認知症による記憶力低下の発現時期は遅いが、いったん低下が始まるとその進行が遅いという。
教育期間が1年増すごとに記憶力低下の加速が始まる時期が0.21年遅れた。しかし、記憶力低下の加速が始まった後の低下率は、教育期間が1年増す毎に年間0.10ポイント上昇した。
Hall CB, et al. Neurology 2007;69:1657-1664
Medical Tribune 11月8日 より
(07-11-13)
男性の肝細胞がん
Hepatocellular Carcinoma in Men
肝細胞がんの有病率は、男性より女性の方が低い。
モデルマウスの研究によると、エストロゲンが肝細胞がんを誘発する経路を阻害することが示された。それが女性が肝細胞がんにかかりにくい原因のひとつになっている。

エストロゲンがインターロイキン-6産制を抑えて、ジエチルニトロサミン(発がん物質)による肝細胞がんを抑制する。
N Engl J Med , 2007; 357: 1974-76
(07-11-10)
ウイルス抗原およびワクチン抗原に対する液性免疫
ウイルス抗原(水痘帯状疱疹ウイルス、麻疹、流行性耳下腺炎)に対する抗体は50年から200年にわたって存続したが、破傷風、ジフテリアなどの非複製抗原に対する抗体は11年から19年と短かった。
N Engl J Med , 2007; 357: 1903-15
(07-11-10)
ニコチン依存症管理で禁煙継続率46%
禁煙指導の成果をみると、指導終了9ヶ月後、指導回数5回すべて受けた人の、禁煙継続は45.7%と高い禁煙効果を示している。これは英国の同じ指導による17.7%と比べて禁煙継続率は高いレベルにあると、中医協の診療報酬改定結果検証部会の遠藤久夫部会長は評価している。
日本医事新報 No.4356 2007年10月20日号より
(07-11-09)
大腿骨頸部骨折の疫学調査
骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折の危険因子として、世界の主なコホート研究の参加者約4万6,000人を対象としたメタアナリシスにより、高齢、女性、低骨密度(BMD)のほか、骨折の既往、骨折家族歴、ステロイド薬使用、飲酒、喫煙、運動なしがBMDとは独立した危険因子であることが判明した。またこれまで過小評価されてきたが、わが国でも大腿骨頸部骨折患者の約20%は男性である。
大腿骨頸部骨折の危険因子については、2006年に発行された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」に、メタアナリシス、システマティックレビューの結果がまとめられた。
この危険因子の固定に当たり、わが国からも広島県のAdult Health Studyコホート(主任研究者=広島市放射線研究所臨床研究部・藤原左枝子部長)の調査結果が信頼性の高いエビデンス構築に貢献した。
大腿骨頸部骨折の危険因子として低BMD、高齢、女性のほかに、生活習慣に関する因子から@喫煙A1日2単位以上の飲酒B運動習慣なしーの影響が示された。また、やせはBMDと独立した大腿骨頸部骨折の危険因子である。カルシウム(Ca)サプリメントはBMDを増加させる効果が報告されているが、骨折に与える影響は少なかった。
Medical Tribune 第2部・2007年10月18日号より
(07-10-23)
2mm以下の超早期がん発見に向けて
オリンパスは2mm以下の超早期がんの発見に役立つ「分光ビデオ内視鏡システム」技術を開発した。
今までの内視鏡では1〜2cmのがんが見つかる光デジタル法による画像強調観察技術をさらに発展させた。オリンパス社はがんに関連する分子と反応する複数の蛍光プローブを選択的に検出することを可能とする分子イメージ用「分光ビデオ内視鏡システム」を開発した。
2mm以下の超早期がん検出を目指したこのシステムは、2013年度に市場評価開始を目指している。
Japan Medicine 10月17日号から
(07-10-18)
進行肺癌の発見におけるCTコロノグラフィと大腸内視鏡検査の比較
成人3120例のCTコロノグラフィ(CTC)と大腸内視鏡検査(OC)を比較した。
6mm以上のポリープが発見された時は切除のためOCを行った。進行腫瘍の発見率は同等(CTC 3.2%、OC 3.4%)だったが、CTC群のほうがポリープ切除と合併症の数は大幅に少なかった。
これらの知見は、初回スクリーニング検査としてOCの前にCTCを使用した方がよいことを示している。
大腸内視鏡検査の前にCTによる大腸検査が望ましい。
N Engl J Med 10月4日 2007年
D.H.Kim 他 ウィスコンシン大学(米)
(07-10-17)
マイクロRNAと移転の関係
Micro RNA and metastasis
胚の一部分から他の部分への細胞の移動を促進する働きをしているマイクロRNAがヒト乳がん中に高レベルで発現し、乳がん細胞の移動、浸潤および転移に関与していることが明らかになった。
マイクロRNAは、さまざまな細胞経路の制御に関与することが示されてきた。マイクロRNAには、がん遺伝子または腫瘍抑制因子として機能するものがあることはわかっていたが、がん転移における役割はわかっていなかった。
Nature 10月11日号 2007年
マサチューセッツ工科大学 L Ma et al.
(07-10-17)
乳がん検診のすすめ
2006年人間ドック全国集計をみると、女性の乳がん発見率が年々増加していることが明らかになった。(左グラフ参照)
女性は発見がんの4割が乳がん。 日本がん検診・診断学会の発表から、従来の触診だけでは、ほとんど見逃される。 有効なのはマンモグラフィー(MMG放射線による)と超音波検査。 施設検診 18万3,261人(茨城県)で行った比較では、両検査の発見率はほぼ同程度だったという(筑波大学 植野映教授ら)。
女性は30歳を過ぎたら、MMGか超音波検査を受けて、乳がんを早く発見するようにしましょう。
(07-10-05)
地域人口の将来動向
−日本の都道府県別将来推計人口(平成19年5月推計)−
「厚生の指標」8月号(国立社会保障・人口問題研究所 西岡八郎ら) より抜粋
@ 将来の都道府県別総人口(2005年から2035年)
2005年の各都道府県の総人口を100とすると、2035年の人口指数は100を超えるのが東京都(100.9)と沖縄県(104.4)だけ。全国でみると、2005年127.768 から2035年 110.679(単位千人)。北海道は5628(562万8000)から4413(441万3000)と78%に減る。
A 自然増加(出生数と死亡数の差)と社会増加(転人者と転出者の差で人口移動による増減)
@)自然増加率(総人口の増加率を年率に換算)
沖縄県以外の46都道府県は全てマイナス。とりわけ秋田県、高知県、山口県の自然増加率は−0.69%を下回る。これは100年以内に県の人口が半減することを意味する。北海道−0.63、人口指数は78.4と47都道府県中34番目。
A)社会増加率
東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、千葉県、埼玉県、福岡県の7都県がプラス。東京都を除けば自然増加率のマイナス幅が大きいため人口増加率はマイナスとなる。
B 人口指数(2005年を100としたときの2035年の人口指数)と人口増加率(2005年〜2035年の年率%)
人口指数 |
人口増加率 |
||
| 全国平均 | 86.6 |
−0.48 |
|
1. |
沖縄県 | 104.4 |
0.15 |
2. |
東京都 | 100.9 |
0.03 |
3. |
滋賀県 | 97.2 |
−0.10 |
4. |
神奈川県 | 97.0 |
−0.10 |
5. |
愛知県 | 96.4 |
−0.12 |
34. |
北海道 | 78.4 |
−0.81 |
43. |
島根県 | 74.6 |
−0.97 |
44. |
山口県 | 73.9 |
−1.00 |
45. |
青森県 | 73.1 |
−1.04 |
46. |
和歌山県 | 71.2 |
−1.12 |
47. |
秋田県 | 68.3 |
−1.26 |
各都道府県の総人口の減少は、長期にわたる出生率の低下によって人口移動の活発な若年層の人口規模が小さくなっていることや、団塊世代など相対的に人口規模の大きな世代が高齢化することによる。
(07-08-22)
Lkb1と癌の因果関係
Lkb1癌抑制遺伝子の変異は、癌の発生率が上昇するポイツ・シェガーズ症候群患者において認められる。今回、非小細胞肺癌の扁平上皮癌サブタイプでも,Lkb1の異変が見いだされた。
Lkb1の喪失は肺癌の分化を変調させると共に、肺腫瘍発生における極めて重要な障壁として、初発、分化および移転を制御していることが明らかになった。
nature 16 Aug 2007 より
(07-08-21)
清涼飲料と成人のメタボリックシンドローム
米国立心肺血液研究所(NHLBI)は、ダイエットタイプであっても清涼飲料(ソフトドリンク)を毎日1本以上飲む中年の成人は、メタボリックシンドロームになるか、すでに素因を有している割合が40%以上にのぼるという調査結果を発表した。(7月23日 Circulationオンライン版で発表予定)
約9000人分のデータを解析した結果、「ダイエットソーダであっても、カロリーと脂肪の摂取量が多い傾向にあり、身体活動量も少ないことが分かっている」とBoston大学医学部内科教授で著者の1人、Ramachandran Vasan は説明する。
MMJ 8月号より
(07-08-20)
部位別がん死亡数
平成17年度、北海道のがん死亡数は、男性9,765人、女性6,368人、計1万6,133人。
部位別でみると
男性 |
女性 |
||
|---|---|---|---|
@ |
肺がん |
@ |
大腸がん |
A |
胃がん |
A |
肺がん |
B |
大腸がん |
B |
胃がん |
C |
肝臓がん |
C |
すい臓がん |
D |
すい臓がん |
D |
乳がん |
*がんの予防は、先ず禁煙から。
*次に早期発見・予防で検査をうけましょう。
定期的に検査をうけましょう。(当病院で受けられるもの)
肺がん : レントゲン検査
喀痰細胞診
CT検査
胃がん : バリウム検査
内視鏡検査(胃カメラ)
大腸がん : 便潜血検査
バリウム検査
内視鏡検査
CT検査でも可能です。
肝臓がん : 血液検査
超音波検査(エコー検査)
CT検査(造影が望ましい)
膵臓がん : 血液検査
超音波検査(エコー検査)
CT検査(造影が望ましい)
乳がん : 超音波検査
レントゲン検査(マンモグラフィー)
全ての検査は、特に苦痛もなく簡単な前処置で受けられます。
気軽に御相談ください。
0166−25−1115 (内線 2316)
〒070−0054
旭川市4条西4丁目1−2
慶友会
(07-08-06)
炎症性腸疾患の病因の解明
Unravelling the pathogenesis of
inflammatory bowel disease
最近、3つの関連した分野の研究から、炎症性腸疾患(IBD)の分子病態の解明に大幅な進歩がもたらされた。
第一に、IBDは複雑な疾患としては感受性遺伝子の発見が最も容易なものであることがわかり、これらの感受性遺伝子から、疾患の病因として上皮の防御壁機能および自然免疫と適応免疫が重要であることが明らかになった。
第二に、環境要因の特定に向けられた研究により、従来の病原体よりも共生細菌(あるいはその産物)が、免疫調節異常やIBDを進行させる原因であることが明らかにされた。
第三に、潰瘍性大腸炎の特徴の多くを示し、細菌によって疾患が進行すると思われるマウスモデルは、IBDの病因/粘膜免疫病理学的性質の解明に役立つことがわかった。
ハーバード大学医学系大学院(アメリカ)
R.J.Xavier & D.K.Podolsky
…nature 7月26日号
(07-07-31)
小児喘息の遺伝子
Childhood asthma genes
小児喘息と診断される率は上昇しており、米国では小児の6%が患者である。小児喘息には、遺伝要因と環境要因の両方が明らかに重要である。
Moffattたちは、遺伝的要素をさらに見つけ出そうと全ゲノム関連解析を行い、喘息と関連のある遺伝子を探索した。7歳未満で喘息を発症した小児の3分の1以上で、第17染色体上のORMDL3遺伝子の発現に変化が認められた。
同種の遺伝子は酵母や他の原始的生物で見いだされており、これらの遺伝子は古代から保存されている免疫機構の構成要素なのかもしれない。
ロンドン大学インペリアルカレッジ(イギリス)
M.F.Moffatt et al.
…nature 7月26日号
(07−07−31)
癌の引き金となるAKT1
AKT1 as cancer trigger
AKT/プロテインキナーゼBのかかわるシグナル伝達経路は細胞の増殖と成長を調節し、アポトーシスや糖代謝などの細胞過程にかかわっている。
この経路の他の構成部分では癌につながる活性化変異が見つかっているが、AKTでの活性化点変異は知られていなかった。しかし今回、ヒトの乳癌、結腸直腸癌と卵巣癌でAKT1の変異が見つかった。この変異は、AKT1と細胞膜との結合を強めるもので、このことはAKT1が癌の直接的な原因となっていることを示している。
トランスレーショナル・ゲノミクス研究所(アメリカ)
J.D.Carpten et al.
…nature 7月26日号
(07−07−31)
アフリカから出た人類
...and humans out of Africa
ヒトの起源に関する「出アフリカ説」は、長年にわたって古人類学学界を盛り上げてきた。
遺伝子解析は、現生人類がアフリカに単一の起源を持つことを支持する傾向にあるが、解剖学的な計測値から得られる結果は一様ではない。
しかし今回、この不一致が解消された。膨大な遺伝子データにより進展可能となった解剖学的新人の古代人口の統計解析を参考にして、頭蓋骨計測値の大規模データベースが新たに分析され、アフリカ単一起源が疑う余地なく裏付けられたのである。
![]() |
|
現生人類の起源を頭蓋骨計測データと遺伝子データの双方から分析したもの。 図aが頭蓋骨計測データ、図bが遺伝子データにより示されたもので、地域は「アフリカ大陸中央部から南部のどこか」でほぼ一致している(青線で囲まれた地域) |
ケンブリッジ大学(イギリス) A.Manica et al.
…nature 7月19日号
(07−07−31)
老化と癌をつなぐ
Ageing and cancer linked
p53タンパク質およびその調節因子であるArfの腫瘍抑制活性は、これらのタンパク質が損傷を受けた細胞を見つけ出し、取り除くのにかかわっていることに基づいている。
老化は、癌と同じく、細胞損傷の蓄積と関連があり、損傷蓄積は老化を開始させる。
Matheuたちは、p53とArfの濃度が高いこと以外は正常なマウスが、癌に対して耐性があるだけでなく、癌の影響の有無にかかわらず、通常のマウスより寿命が長いことを明らかにした。
老化のいろいろな生物マーカーと分子マーカーが、これらのマウスがより長い時間「若いまま」であることを示しているのは注目に値する。内在性のArf/p53活性が高まると抗酸化効果が生じ、これが癌を抑え、また老化も遅らせるらしい。
CNIO スペイン国立がんセンター
Ander Matheu et.al.
…nature 7月19日号
(07−07−31)
喫煙者の子供、尿中コチニン量5倍以上
ニュースワイズによると、喫煙者の子供は、ニコチン副産物であるコチニンの尿中値が5.5倍も高いことが明らかになった。レイセスター大らの研究グループが、学術誌「小児疾患アーカイブス(Archives
of Disease in childhood)」で報告した。
母親が喫煙者であることが、尿中コチニン上昇の最も大きな独立要因で、4倍にも増加させる。父親が喫煙者の場合は2倍であった。
親と一緒に寝ることと、部屋の温度が低いことも、コチニン上昇との関連性がみられた。
これは、生後12週間の乳児104人の尿サンプルから、コチニンを測定した結果分かったもの。71人は最低でも片親が喫煙者で、33人は両親とも非喫煙者であった。
…Japan Medicine 7月23日号
(07-07-25)
喫煙で前立腺癌の予後が悪化
エッセン大学病院泌尿器科のTobias Jager氏らは「最新の研究から、前立腺癌患者の予後は喫煙により悪化することが明らかになった」とUrologe
A(2007;46:397-401)に発表した。
今回同院で実施された後ろ向き試験では、最初に癌と診断された時点で喫煙していた52例(喫煙群)と喫煙していなかった171例(非喫煙群)のデータが比較検討された。その結果、癌以外の死因を除いた10年生存率は、非喫煙群で87%であったのに対し、喫煙群では58%であった。
同氏の計算によると、前立腺癌が原因で死亡するリスクは喫煙群では非喫煙群の約3倍に達するという。
…Medical Tribune 7月19日号
(07-07-25)
乳癌遺伝子が新たに4つ
Novel breast cancer genes
BRCA1やBRCA2などの既知の乳癌感受性遺伝子では、乳癌の家族性リスクの25%未満しか説明がつかなかった。
今回の研究では、21,860名の患者と22,578名の対照例が調べられ、乳癌への遺伝的なかかりやすさと正の相関を示す4つの遺伝子(FGFR2,TNRC9,MAP3K1およびLSP1)が同定された。
これまでに同定された乳癌感受性遺伝子の大部分はDNA修復にかかわるものだったが、今回新たに見いだされた結びつきは細胞の増殖やシグナル伝達に関係するもののようだ。これらの遺伝子のうち、FGFR2だけは乳癌との重大な関連が既にはっきりしていた。
これらの遺伝子の発見は、乳癌の原因研究に新たな道を開くとともに、女性の癌リスクを分類する新しい戦略の一部となって、よりよい癌予防につながるかもしれない。
Douglas F.Easton(イングランド ケンブリッジ大)、Karen A.Pooley(オーストラリア プリンスオブウェールズ病院)
…Nature 6月28日号
(07-07-13)
カリフォルニアでの喫煙
California smoking
英国イングランドでは、7月1日から屋内の公共の場での喫煙が法律で禁止される。
さまざまな厳しさの喫煙禁止措置は、ヨーロッパ全域で既に施行されている。しかし、10年も前にこの流れに先鞭をつけたのは、米国のカリフォルニア州である。カリフォルニア州の住人である
K Novakは、カリフォルニア州の禁煙法施行からわかってきた疫学的知見は単純ではないと述べている。
しかし、はっきりしていることが1つある。それは、喫煙で命を縮めているのは喫煙者本人であり、受動喫煙に対する懸念を強調してこの事実をあいまいにしてはならないということだ。
| 各国の禁煙条例制定年月 | |
| アルゼンチン |
2006、2007 (地方での禁止条例) |
| オーストラリア |
2006、2007 (地方での禁止条例) |
| ブータン | 2005年2月 |
| デンマーク | 2007年4月 |
| イングランド | 2007年7月 |
| フィンランド | 2007年6月 |
| フランス | 2008年1月(予定) |
| 香港 | 2007年1月 |
| ハンガリー | 2009年(予定) |
| アイスランド | 2007年6月 |
| アイルランド | 2004年3月 |
| イタリア | 2005年1月 |
| リトアニア | 2007年1月 |
| オランダ | 2008年7月(予定) |
| ニュージーランド | 2004年12月 |
| 北アイルランド | 2007年4月 |
| ノルウェー | 2004年6月 |
| ポルトガル | 2007年5月 |
| スコットランド | 2006年3月 |
| スウェーデン | 2005年6月 |
| タイ | 2007年8月 |
| ウェールズ | 2007年4月 |
| ウルグアイ | 2006年3月 |
…Nature 6月28日号
(07-07-11)
カルシウム、ビタミンDの摂取と乳癌リスク
動物実験と人間を対象とした観察データによって、カルシウムとビタミンDが乳癌リスクを減少させる可能性が示された。
閉経前の10,000人と閉経後の20,000人の登録者を対象として行なった10年間のフォローアップ研究の結果によると、乳癌の総合的な発生率は閉経前では2.6%、閉経後では3.6%であった。
閉経前の女性において、カルシウム摂取量がもっとも多い群ともっとも低い群での乳癌のハザード比は0.61で、同じくビタミンD摂取量がもっとも多い群ともっとも低い群のハザード比は0.65であった。
…Journal Watch 7月1日号
(07-07-06)
葉酸と結腸直腸癌リスク
実験による疫学的データによって、葉酸の結腸直腸癌に対する一次予防効果が示された。
直腸結腸癌を直近3ヶ月以内に切除した1021人を対象とした実験(葉酸を1日1mg投与する群とプラセボ群に分け、3年後と6年後に検診を行なう)によると、癌の発生リスクには有意差が認められなかったが、より高度の病期へ向かう段階では葉酸の予防効果が認められた。
前立腺癌の増加のために、結腸直腸癌以外の癌の発生率は葉酸群においてかなり高かった。
…Journal Watch 7月1日号
(07-07-05)
プラセボ比で全生存期間44%延長 ソラフェニブの進行性肝細胞がんに対する治療効果
- 第43回米国臨床腫瘍学会(ASOC)
ニューヨーク・マウントサイナイ医学校助教授のジョセフ・M・ロベット氏は、第43回米国臨床腫瘍学会(ASOC)2007年次総会のプレナリーセッション(4日)において、進行性肝細胞がんに対する分子標的薬ソラフェニブの有効性・安全性を調べた「SHARP試験」の中間解析結果を明らかにした。
ソラフェニブ投与群は、プラセボ投与群に比べて全生存期間を44%延長したことが報告された。
有害事象の発生率はソラフェニブ52%、プラセボ54%で差が認められなかった。ソラフェニブの有害事象で最も多かったのは「下痢」でソラフェニブ11%、プラセボ2%。その他「倦怠感」がソラフェニブ10%、プラセボ15%、「手足皮膚反応」がソラフェニブ8%、プラセボ1%、「出血」はソラフェニブ6%、プラセボ9%となった。
ロベット氏は、今回の中間結果について「ソラフェニブは進行性肝細胞がん患者の生存期間を有意に延長することが証明された初めての全身治療薬」と強調。その上で「進行性肝細胞がんの新しい標準治療薬として期待できる」との考えを示した。
…6月29日付 Japan Medicine
(07-07-03)
嚥下機能が低下した患者のケア 高齢者肺炎の6割以上が誤嚥性肺炎
- 第25回老年学会総会・第49回日本老年医学会学術集会
第25回老年学会総会・第49回日本老年医学会学術集会(札幌市、20日〜22日)のランチョンセミナー(22日、ファイザー共催、座長=佐々木英忠・秋田看護福祉大学長)において、誤嚥の実演と治療戦略についての講演が行なわれた。
県立広島病院小児感覚器科の益田 慎氏は、「誤嚥を作る」をテーマに講演。いかに誤嚥が容易に起こりうるかを説明するため、聴講者に水を飲ませて誤嚥を体験させた。益田氏は、「われわれ医療関係者が誤嚥をしやすい、または嚥下を妨げるような環境を作り出している場合があるので注意が必要」と強調した。
…6月29日付 Japan Medicine
(07-07-03)
脳卒中は平均余命を10年短縮
- 第25回老年学会総会・第49回日本老年医学会学術集会
「地域高齢者の今−高齢者を対象とした疫学研究より」が21日、若手企画シンポジウムとして取り上げられた。脳卒中の予後に関する疫学調査「秋田研究」の報告では、脳卒中の治療戦略の方向性を定める上で、重要なデータが示された。
秋田県立脳血管研究センターの鈴木一夫氏は、秋田県で行われている脳卒中発症登録「秋田研究」の解析について報告した。
秋田研究は1983年から始まった疫学調査で、120万人が観察対象となっている。登録対象はCTかMRIで脳卒中(再発含む)の病型診断を得た症例。登録数は6万8000人となっている。
鈴木氏は脳卒中の特徴について解説。要介護者の原因疾患の25.7%を脳卒中が占めていることを紹介し、「要介護者の4人に1人が脳卒中。心臓病(4.1%)・がん(1.7%)に比べて、要介護となる割合が高い」と強調した。
1985年〜2000年の15年間を解析した結果、脳卒中発症率は「不変」だった。しかし、発症数は人口の高齢化に伴って増加傾向にあり、鈴木氏は「再発まで含めると発症数の増加は深刻だ」とした。
また、秋田研究では脳卒中の再発者数と回数を検討しており、初回発症者5万5003人に対し、6460人(12%)が再発を経験していることが分かった。
…6月29日付 Japan Medicine
(07-07-03)
ワクチン接種で細胞性免疫を増強 − 帯状疱疹 予防に勝る治療なし
国立成育医療センター 加藤達夫総長がJapan Medicine誌のインタビューにおいて、帯状疱疹の予防接種の必要性について語った。
加藤総長は帯状疱疹の予防について、水痘ワクチンの予防接種が唯一の手段であり、米国での大規模臨床研究(4万症例)で帯状疱疹の予防効果と安全性が実証されたこと、またこの米国での研究でワクチンが帯状疱疹の発症率を51.3%、PHN(帯状疱疹後神経痛)の発症率を66.5%、帯状疱疹の病的負担を61.1%抑制したことなどを語った。
一方で、国内では医師の認知度の低さや小児の定期接種が認められていないことなどから帯状疱疹の予防接種がほとんど行なわれていない現状についても触れ、患者のQOLや社会経済学的な効果を考慮した上でも、国内での水痘ワクチンの積極的な使用がなされるべきであると訴えた。
…6月29日付 Japan Medicine
(07-07-03)
内科疾患数と医療の質との関係
Relationship between Number of Medical Conditions and Quality of Care
方法:
地域社会質指標研究、高リスク高齢者医療評価研究、および退役軍人健康庁プロジェクトにおける、地域居住成人患者の3集団(計7,680例)に対して行われた医療の質の測定結果を評価した。
結果:
内科疾患数が増加するに従って、医療の質も向上した。
各内科疾患は、質スコアにおいて、地域社会質指標コホートでは2.2%(CI=1.7〜2.7)、高リスク高齢者医療評価コホートでは1.7%(CI=1.1〜2.4)、退役軍人健康庁コホートでは1.7%(CI=0.7〜2.8)の上昇と関連していた。
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表1 共同体品質指数(CQI)、ベテランの健康管理(VHA)、および体の弱ったお年寄りのケアに関する評価(ACOVE)プロジェクト |
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| CQI、VHAプロジェクト | |
| ぜんそく | 悪化した時点で、テオフィリンによる治療を受ける患者はテオフィリンのレベルを測定すべきである |
| 前立腺肥大症 | 前立腺肥大の良性診断をうけた、中程度の前立腺症の症状が報告される患者は、発症後1ヶ月以内に治療オプションを議論するか、または提供するかをさせるべき |
| 冠動脈疾患 | 患者は発症後か入院後2時間以内に、(禁忌でない限り)最低でも160mgのアスピリンを投与されるべきである |
| 心房細動 | 持続時間が不明な心房細動を発症する患者は、発症後2週間以内に甲状腺機能をチェックするべきである |
| 糖尿病 | 新たに診断された糖尿病患者は、食事と運動に関してのカウンセリングを受けるべきである |
| うつ病 | うつ病による入院患者には、発症後2週間以内にメンタルヘルス専門医、あるいはかかりつけ医の継続した訪問がなされるべきである |
| 高血圧 |
6ヶ月間、一貫した最大血圧(140mmHg以上)か最小血圧(90mmHg以上)が続いている高血圧患者は、以下の2つの処置のうち1つを受け、
それをカルテに記載するべきである 1 降圧薬の投与量、投与計画の見直し |
| 変形性関節炎 | 新たに骨関節炎と診断され、症状に薬物療法を希望する患者 は、アセトアミノフェンによる治療をすすめるべきである |
| 脳卒中 | 新たに脳卒中と診断され、心臓の原因がない患者は、診断後1週間以内に(禁忌がない限り)抗血小板療法を受けるべきである |
| 前立腺がん | 新たに前立腺がんと診断された、PSA(前立腺特異抗原)レベルが1mlあたり10r以上の患者は、診断後1ヶ月以内 に(もしくは処置の開始前に、いずれにしろ速やかに)放射性核種スキャンを受けるべきである |
| 結腸直腸がん | S字結腸鏡検査で陽性と診断されたすべての患者は、3ヶ月以内に大腸内視鏡検査を 受けるべきである |
| 乳がん | 第1、第2病期の乳がん患者は 、禁忌がない場合に限り、非定型的乳房切除術か乳房温存手術を受けるべきである |
| ACOVEプロジェクト | |
| 心房細動 | 患者が心房細動にワルファリンを服用しているなら、INRを最初の投与から4日以内と、その後少なくとも6週間毎にチェックするべきである |
| 冠動脈疾患 | 冠動脈疾患を持つ患者が喫煙している場合、禁煙のためのカウンセリングを少なくとも年1回行い、カルテに記録するべきである |
| 認知症 | 認知症の患者に介護人がいる場合、医師は患者と介護人に対し患者の安全について話し合い、家での揉め事にどう対処するかの教育を行い、認知症の共同資源に関して通知すべきである |
| うつ病 | 患者がうつの診断をうける場合、薬物乱用、薬物依存がない場合、あるいはその期間中にその治療によって症状が改善したとの記述がある限り、診断の2週間以内に精神療法などを提供するべきである |
| 糖尿病 | 患者の糖化ヘモグロビンレベルが高い場合、3ヶ月以内にその改良のための治療を施すべきである |
| 心不全 | もし患者の左室駆出率が40%以下で、無症候性の左心室機能不全に陥っているならば、アンギオテンシン変換酵素阻害薬を提供するべきである |
| 高血圧 | 新たに高血圧と診断された患者には、他の心血管系リスク因子の有無に関する文書をつけるべきである |
| 変形性関節炎 | 新たに膝の関節炎と診断されたが、運動に関する禁忌がなく物理的にも精神的にも運動が可能な外来患者には、エアロビクスのプログラムが診断後3ヶ月以内に組まれるべきである |
| 骨粗しょう症 | 新たに骨粗鬆症と診断された女性の患者には、発症後3ヶ月以内にホルモン補充療法、ビスホスホネート製剤の投与などの処置をするべきである |
| 褥瘡 | 患者に褥瘡 がみられる場合、症状の進行具合、位置、大きさなどで評価されるべきである |
| 脳卒中 | 患者が急性虚血発作か出血性卒中と診断されて入院するなら、専門的な脳卒中ユニットへの入院もしくは移動(そのような施設が病院にあった場合)をするべきである |
・・・The New England Journal of Medicine 6月14日号
(07-06-15)
コーヒーの摂取で肝癌のリスクが低下する可能性を示唆するデータ
コーヒーの摂取量が増えると肝癌のリスクが低下する可能性があることを示すメタ解析の結果を、スウェーデンのグループがGastroenterology 5月号に発表した。
肝癌患者2,260人と肝癌のない約23万9000人を含む4件のコホート研究と5件の症例対照研究が基準に合致した。
すべての研究でコーヒーの摂取と肝癌のリスクとの間に逆相関が観察され、6件の研究ではその関連性は統計学的に有意であった。
全体として、1日2杯のコーヒー摂取は肝癌発症リスクの43%低下と関連していた。
…Medical Tribune 6月7日号
(07-06-12)
感染者・患者が過去最高に 18年エイズ発生動向
厚生労働省のエイズ動向委員会は5月22日、平成18年エイズ発生動向の概要をまとめた。
18年に報告されたHIV感染者は952件、AIDS患者は406件で、両者ともに過去最高となったことがわかった。
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HIV感染者及びAIDS患者報告数の年次推移 |
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双方の患者が増加傾向にあり、17年と比べてHIV感染者で120件、AIDS患者で39件増加している。 |
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2007年4月1日現在のHIV感染者及びAIDS患者の報告数の累計 |
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| 男 | 女 | 計 | |
| HIV感染者 | 6,730 | 1,841 | 8,571 |
| AIDS患者 | 3,612 | 519 | 4,131 |
| 凝固因子製剤による感染者 | 1,420 | 18 | 1,438 |
…日本医事新報 6月2日号より
(07-06-07)
過少が過剰に勝るとき
厳しいカロリー制限は、マウスなどの生物で寿命を延長するが、食餌を厳しく制限された状態が寿命を延長する仕組みについてはわかっていなかった。
今回ついに、加齢研究でよく使われる線虫(C.elegans)で、カロリー制限と寿命延長との特異的な関連が2つの論文により明らかにされた。
この画期的な研究結果は、今号のNatureの表紙を飾った。
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| Nature 2007年5月31日号 表紙 (線虫の肺の画像。緑色に標識されている部分がPHA-4) |
1.線虫で食餌制限により誘導される寿命延長には2個のニューロンが関与している
食餌制限によって、線虫頭部のASIという一対のニューロンの転写因子遺伝子(skn-1)が活性化され、代謝活性を増大させるシグナルを抹消組織に送る。
本論文により、線虫のASIニューロンは内分泌的機構によって食餌制限が誘導する寿命延長に関与していることが示された。
N.A.Bishop , L.Guarente(マサチューセッツ工科大)
2.線虫のPHA-4/Foxaは食餌制限により誘導される寿命延長に関与している
食餌制限がもたらす摂食量低下によって、幅広い後生動物種の寿命が延長され、加齢が関連するさまざまな疾患の発症が遅くなる。
線虫の転写因子PHA-4は、老化を制御する他の遺伝子経路に起因する寿命延長には必要でないことから、寿命決定におけるPHA-4の役割は食餌制限に特異的である。
| 図:食餌制限への反応における、PHA-4の制御と局在化 |
![]() |
| 虫の腸管細胞内(図b、c:赤い矢印)、頭部ニューロン(図d、e:白い矢印)、および尾部ニューロン(図f、g:黄色い矢印)で核局在化が明らかになった。 |
S.H. Panowski et al.(ソーク生物学研究所)
…Nature 5月31日号
(07-06-07)
細胞極性を乱すピロリ菌毒素
ピロリ菌(Helicobacter pyroli)は世界人口の半数以上に感染しており、通常はあまり問題にならないものの、時として胃粘膜損傷や消化性潰瘍、胃炎、腺癌を引き起こすことがある。
今回、ピロリ菌の主要な毒性因子であるCagAが、細胞極性に関与するタンパク質Par−1に結合してそのリン酸化を阻害し、上皮細胞の極性を破壊することが明らかになった。
この研究によって、ヒトの病原体とPAR細胞極性制御装置とをつなぐ分子機構が初めて明らかになり、PAR1の阻害が消化管での発癌に広く関わっている可能性が示された。
…nature 5月17日号
(07-05-22)
直腸結腸癌リスクに対するアスピリン投与の長期での効果:
無作為化試験と観察試験の結果が一致
Effect of aspirin on long-term risk of colorectal
cancer:
consistent evidence from randomised and observational studies
背景:
腺腫または癌の既往歴のある患者に対し、アスピリンが結腸直腸腺腫の再発に対する短期リスクを減少させる効果があることが無作為化実験により示されたが、10年間のフォローアップによる大規模な試験では、結腸直腸癌の一次予防効果が全く示されていない。
しかしながら、腺腫の初期発生から癌に伴う症状までの遅れは少なくとも10年である。
癌の発生に対する、アスピリンの長期での効果を評価することをこの実験の目標とした。
実験方法:
アスピリンの効果を、20年以上のフォローアップ研究による信頼のおける2つの大規模な無作為試験によって調査した。
実験結果:
1日あたり300mg(もしくはそれ以上)のアスピリンによる治療をおよそ5年間継続すると、結腸直腸癌の一次予防効果があることが無作為化対照試験によって示され、これは観察試験の結果とも一致した。
より少ない頻度の、もしくはより少ない投与量のアスピリンの効果を証明するために、他の無作為化試験からの長期のフォローアップが要求される。
Enrico Flossmann, Peter M Rothwell(オックスフォード大、Radcliffe Infirmary)
…The LANCET 2007;369:1603-1613 より
(07-05-21)
脳卒中リスクに関連する遺伝子欠損
ヘルレフ大学病院(デンマーク・コペンハーゲン)のBorge G.Nordestgraard博士らの研究によると、家族に受け継がれる最も一般的な遺伝子欠損の1つが、脳卒中リスクを大幅に増加させるという。詳細はNeurology(2007;68:1025-1031)に発表された。
24年間にわたり9178例を対象に評価した。この間に393例が脳卒中、504例が脳血管障害を発症した。
全例を対象に、ヘモクロマトーシス(血色素症)遺伝子として知られるHFE遺伝子のH63D遺伝子欠損の有無についてスクリーニングを行った。
この研究では、欠損遺伝子H63Dを2コピー持つ人は、この遺伝子を持たない人に比べ、脳卒中リスクが2〜3倍高いことが確認された。
…Medical Tribune 5月10日号
(07-05-18)
医療事情に関する意識調査 − 医師、市民とも「満足」は3分の1にとどまる
医師、看護師など医療関係者と一般市民約27,000人を対象に実施された医療事情に関するアンケートの結果がまとまり、第27回日本医学会総会(会頭=大阪大学・岸本忠三前総長)の特別シンポジウムで公表された。
わが国の医療に対する満足度については、医師の35.7%、コメディカルの32.7%、市民の34.8%が「たいへん満足」、「ほぼ満足」と回答するにとどまり、不満の割合が満足を上回っている現状が示された。
また、「治療方法の選択に関して患者の意見や希望が生かされているか」という設問では、医師と一般市民の乖離は激しく、岸本会頭は「医師の約76.5%が尊重していると答えたのに対して、そう回答した市民は4割にも満たず、コメディカルでも半数程度にとどまった。医師として自覚し、今後の診療に当たらなければならない」と述べた。
さらに、「医療費(自己負担分)は高いと思うか」という設問も医師と医師以外との回答の違いが目立った。
医師では44.1%が「たいへん高い」、「やや高い」と考えているのに対して、実にコメディカルの75.2%、市民の88.7%が「高い」と回答した。
一方、医師不足については、医師の64.4%、コメディカルの77.5%、市民の70.9%が「不足している」と回答しており、「医師不足の現状は患者にも理解されているようだ」と同会頭は分析した。
今回のアンケートでは小児科、産科、麻酔科、救急医療の勤務医不足の解決策についても尋ねられたが、医師では「報酬を上げる」という回答が42.7%を占めたのに対して、市民とコメディカルで最も多かったのは、医師では6.8%にすぎなかった「強制的に医師を配置する」で、それぞれ35.3%、28.3%を占めていた。
…Medical Tribune 5月10日号
(07-05-18)
糖尿病とその治療が認知機能に及ぼす長期的影響
Long-Term Effect of Diabetes and Its Treatment on Cognitive Function
実験方法:
糖尿病のコントロールと合併症に関する試験(DCCT)とその追跡対象である糖尿病への介入と合併症に関する疫学研究(EDIC)に登録された計1,144例の1型糖尿病患者を対象に、DCCT登録時(平均年齢27歳)と平均18年後に、同一の包括的な認知機能検査を実施した。
追跡期間中に、糖化ヘモグロビン値を測定し、昏睡やけいれんにいたった重症低血糖イベントの頻度を記録した。
最初のDCCTでの治療群割付け、糖化ヘモグロビン平均値、低血糖イベントの頻度が認知機能評価項目に与える影響の評価を、ベースラインにおける年齢、性別、教育年数、追跡期間、視力、自己報告による末梢神経障害に伴う感覚障害、ならびにDCCT開始以降の期間に実施された認知機能検査の回数(検査施行の影響を調整するため)で補正して行なった。
実験結果:
コホート集団の40%が、低血糖性の昏睡またはけいれんを1回以上経験したと報告した。重症低血糖の頻度と先行試験での治療群割付けはいずれも、いかなる認知領域の低下とも関連しなかった。
糖化ヘモグロビン値が高いほど、運動速度(P=0.001)および精神運動効率(P<0.001)の中等度の低下と関連していたが、ほかの認知領域への影響はみられなかった。
結論:
大規模な1型糖尿病患者群を対象に平均18年間慎重に追跡調査を行なった今回の研究では、重症低血糖の発生率が比較的高いにもかかわらず、長期にわたる認知機能の大幅な低下を示す証拠は認められなかった。
…The New England Journal of Medicine 5月3日号
(07-05-09)
アルツハイマー病のワクチン治療に成功
アルツハイマーの大きな原因となる脳のアミロイドβを取り除く治療が、マウスで成功した。
ワクチンを使って体内の免疫反応を引きおこす方法である。
患者がワクチンを飲むと、人工ウイルスが腸の細胞に感染してアミロイドβを作る。腸では抗体を作るB細胞が主として免疫をつかさどっており、アミロイドβに対する抗体をつくる。
抗体は血液に乗って脳へ行き、脳内のアミロイドβにくっつく。するとこの抗体にくっつく“手“をもった「ミクログリア」という細胞が寄ってきて、アミロイドβを食べて除くという仕組みである。
マウスを使ったテストによると、アルツハイマーのマウスのうちワクチンによってアミロイドβが取り除かれた個体は、脳のはたらきが健常なマウスと同じくらいにもどっていることが確認された。
鍋島 俊隆 名城大学大学院薬学研究科教授
毛利 彰宏 名城大学大学院薬学研究科研究員
原 英夫 藤田保健衛生大学医学部神経内科准教授
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コメント: この治療が人にも効果があれば、どんなに助かるか。 早く実用化されることを願っています。 慶友会 |
…Newton 2007年6月号より
(07-04-27)
肺転移への連続的ステップに転用される血管リモデリング仲介因子
Mediators of vascular remodelling co-opted for
sequential steps in lung metastasis
癌:仕事の分割
Division of labor
新しい腫瘍の発生にかかわっている遺伝子('Tumour-progression
gene')がある一方で、癌細胞の他の器官への転移を促すのが専門の遺伝子('Metastasis genes')も存在する。この両方の過程で必要と思われる4つの遺伝子(Epiregulin、COX2、MMP1、MMP2)からなるセットが見つかった。
このうち1つを選んで標的としても腫瘍の進行を止められないが、4つすべてを複合的に阻害すると転移が大幅に少なくなった。
原発腫瘍がどういうものにかかわりなく効果を発揮するような、転移抑制に特異的な薬剤併用法を設計できる可能性がある。
スローン・ケタリング記念癌センター
G.P. Gupta et al.
…Nature 4月12日号
(07-04-23)
ノロウイルスがドイツで猛威 - 充分な手洗いが対策の基本
ドイツは現在、ノロウイルスの脅威にさらされている。ロベルト・コッホ研究所(RKI、ベルリン)は、今年のノロウイルス感染者数はこれまでの記録を更新すると試算しており、その現状をEpidemiologisches
Bulletin(2007;5:34-37,2007;6:49)で報告した。
昨年の10月初めから今年1月の第3週までに、ノロウイルスによる胃腸炎の報告は55,312件あったが、休暇による報告の遅れや確認漏れなどの理由から、この数字は氷山の一角とみられている。
また、感染者が5例以上の集団感染も1月までに1,405件確認された。今冬のこれまでの1週間当たり発生件数のピークは222件で、昨冬のピークが77件であったことから、現在の多さを理解できる。特に、保育園、高齢者介護施設、大病院ではノロウイルスが蔓延するリスクが高い。集団感染の90%以上はこうした共同施設から報告されており、病院だけでも9週間以内に388件の感染が確認されている。
…Medical Tribune 4月12日号
(07-04-23)
肺炎球菌ワクチンで死亡率減少
ニュージャージー医科歯科大学(UMDNJ、ニュージャージー州ニューアーク)予防医学・地域保健のAnushua Sinha博士らは、発展途上国の肺炎球菌ワクチンの幼児へのルーチンな予防接種は、小児の死亡率を減少させ、費用効果も高いとLancet(2007;369:389-396)に発表した。
肺炎球菌ワクチンの予防接種は、幼児の肺炎球菌ワクチンによる年間死亡数の7%にあたる26万2000人の死亡を予防し、年間830万人障害調整生存年数(DALY)が予防されると計画されていた。72か国の予防接種供給率が100%になると、毎年40万7000人の幼児の死亡を減らすことができる。
国際的なワクチンの費用は1接種あたり5ドルで、総費用は8億3800万ドルとなり、DALY当たりでは100ドルを節約することになる。
(07-04-23)
CRPが生存予後を予測
オレゴン保健科学大学(OHSU、ポートランド)癌研究所内科(血液学・医学腫瘍学)のTomasz M.Beer准教授らは、アンドロゲン非依存性前立腺癌に対する化学療法の予後予測因子として、C反応性蛋白質(CRP)を活用できることを新たに同定したと、フロリダ州オーランドで開かれた集学的前立腺癌シンポジウムで報告した。
CRPは、炎症があると肝臓で大量に産生される特殊な蛋白質である。今回の解析では、CRP高値が前立腺癌患者の生存期間短縮と化学療法に対する反応率の低下に関係していることがわかった。OHSUの前立腺癌研究主任でもあるBeer准教授は、今回の知見について「標準的な血液検査により前立腺癌の特徴について更なる情報が得られるため、医師や患者がよりよい判断を下すのに役立つであろう」と述べた。
同試験の主要な結果はJournal of Clinical
Oncology(2007;25:669-674)に掲載されており、最も重要な知見としてDN-101 45μgの併用群では、ドセタキセル単剤投与群と比べて生存率が49%(P=0.035)、深刻な有害事象の発生率が34%(P=0.023)改善したことが報告されている。
(07-04-23)
お酒に弱い人の継続飲酒、食道がん発症率が12倍
世界保健機関(WHO)は、アルコールとがんの因果関係についての見解を約20年ぶりに見直し、英医学誌「ランセット・オンコロジー」4月号に発表した。
エタノール(アルコール)は、がんを引き起こす元凶と指摘。アルコールの分解過程で重要な役割を果たすアルデヒド分解酵素(ALDH2)の一部が欠損し、働きの悪い人は、飲酒量に比例して食道がんになる危険が高まり、酵素が正常な人の最大12倍になるとした。
20年前にWHOが飲酒との関係を認定したのは食道がんと肝臓がんなど限られたがんだけだったが、今回は乳がん、大腸がんとの間にも「因果関係があるのは確実」とした。アルコールを毎日50グラム(ビール大瓶2本程度)摂取した人の乳がん発症率は、飲まない人の1・5倍。大腸がんの発症率も飲酒しない人の1・4倍になるという。
WHOの会議に出席した横山顕・国立病院機構久里浜アルコール症センター臨床研究部長は「アルデヒド分解酵素の部分的欠損者は、日本人の35%、アルコール依存症患者の13%に達する。飲酒教育を早期から行うなど、新たながん予防策を講じることが重要だ」と話している。
…4月1日付 読売新聞
(07-04-03)
冠動脈疾患発症リスク評価 高感度CRPは日本人健常中年男性に有用
日本医科大学衛生学公衆衛生学の大塚俊昭氏らは、日本人健常中年男性を対象にCHD発症リスクの評価としてFramingham
Risk Score(FRS)を算出し、hsCRP(高感度C反応性蛋白質)との関連を検討した。
その結果、hsCRPはFRSと有意に相関することなどを明らかにした。
最近の欧米の疫学的研究において、hsCRPと心血管疾患発症との関連が明らかにされている。
Ridkerらは、心筋梗塞または症候性の虚血性脳血管障害を発症した症例では、発症以前のCRPがわずかに上昇することを見出した。その後報告された前向き研究でも、CRP値が1.0mg/Lより高い群では1.0mg/L以下の群より心血管イベントが高頻度に発症したことから、CRPが心血管疾患の予測因子とみなされるようになった。
大塚氏は神奈川県の某企業の男性職員の健康診断によるhsCRPの測定結果などから、「hsCRPは、日本人健常中年男性において、CHD発症リスク評価に有用である可能性がある」と結論付けている。
…Medical Tribune 3月22日
(07-03-29)
フィンランドの癌家系で反復性にみられるPALB2の変異
A recurrent mutation in PALB2 in Finnish
cancer families
BRCA1、BRCA2などの、乳癌感受性にかかわることが確立されている遺伝子で説明できるのは、乳癌の遺伝子要素として知られているものの半分以下に過ぎない。したがって、ほかの関連遺伝子はまだ発見されていない。
最近、新たなBRCA2結合タンパク質であるPALB2が同定された。
フィンランドの一集団を対象とした新たな研究により、このPALB2遺伝子で、乳癌のリスク増大と関連があり反復して出現する変異がみつかった。
研究の結果、PALB2遺伝子は乳癌の感受性遺伝子であり、また相応の変異型では家族性の前立腺癌の発生につながる可能性もあることが示された。
Hannele Erkko(フィンランド オウル大 臨床遺伝子学科)ら
…Nature 3月15日号
(07-03-23)
インスリン血中に多いと、大腸がんリスク3.2倍・厚労省研究班
血糖値を調整する役割を持つインスリンの血中濃度が高くなりすぎると、男性は大腸がんにかかるリスクが最大3.2倍に高まることが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。
インスリンは体にとって重要なホルモンだが、がん細胞を増殖させる作用もあるとされ、がんとの関連が指摘されている。特に糖尿病や肥満・運動不足の人は、インスリン濃度が高くなりやすく、がんのリスクも高まるという。
…日本経済新聞 3月2日付
(07-03-02)
IDWRより 5類感染症
2007年第5週のインフルエンザの定点当たり報告数は5.31(報告数25,190)であり、前週2.58の2倍以上となった(図1)。
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グラフ引用元: IDWR感染症週報(1月29日〜2月4日)より |
都道府県別では愛知県(19.3)、宮崎県(14.3)、山形県(14.1)、福島県(8.5)、福岡県(8.3)、三重県(7.8)、岐阜県(7.7)、大分県の(6.9)の順であり、中部・九州・東北地方南部〜関東北部の地域に多くみられている。(図2)
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グラフ引用元: IDWR感染症週報(1月29日〜2月4日)より |
年齢別では5〜9歳が27.5%と最も多く、次いで10〜14歳(23.9%)、0〜4歳(18.9%)の順である。(図3)例年と比較すると0〜4歳、5〜9歳の割合が低く、10〜14歳、15〜19歳の割合が高くなっている。
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グラフ引用元: IDWR感染症週報(1月29日〜2月4日)より |
…厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(1月29日〜2月4日)より
(07-02-23)
よく運動する男性、大腸がんリスク3割減 - 厚労省調査
男性で運動や肉体労働などで体をよく動かす人は、ほとんど体を動かさない人に比べ、大腸がんになるリスクが3割も低いことが、厚生労働省研究班の大規模な疫学調査でわかった。結果は20日公表された。
研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)は、1995年と98年の2回、全国の45〜74歳の中高年男女約6万5000人を対象にアンケート調査を実施した。それぞれが一日に運動する時間と運動の強さを調べ、活動量を計算。活動量の差で4集団に分け、2002年まで追跡調査し、大腸がんを発症する危険度を比較した。
その結果、男性では活動量が多い集団ほど大腸がんになるリスクが下がる傾向があり、激しい運動などで最も体を動かす集団は、最も体を動かさなかった集団に比べ、31%も低かった。結腸がんのリスクの差は42%もあった。
体を動かすと、がんの危険因子である肥満や糖尿病の予防につながるほか、腸の発がんにかかわる生理活性物質を少なくする効果があると考えられる。
ただ、女性にはほとんど差がみられなかった。アンケートに家事に関する設問がなく、家事の活動量の差が反映されていない可能性があるという。
…読売新聞 2月20日付
(07-02-21)
日本動脈硬化学会、動脈硬化性疾患診療ガイドライン2007年度版を報告
日本動脈硬化学会は4日、「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2007年度版」をまとめた。ガイドライン(GL)では、低リスクの患者には生活習慣の改善を中心とした治療が重要とのメッセージを強く打ち出した。
07年度版GLでは、各章ごとにA〜Cのエビデンスレベルを示したほか、推奨段階をクラスTからVに分類した。また、クラスUをUa(どちらかというと有効性・効果がある)と、Ub(有効性や根拠が乏しい)に分けた。
従来の「高脂血症の診断基準」については、「脂質異常症の診断基準」に表記を改めた。
脂質異常症の診断基準、また脂質異常症の管理目標については、以下のように定められた。

ガイドラインの大きな改訂点となっているのが、患者カテゴリーである。今回新たに、1次予防と2次予防を明確に区別した。
1次予防では、危険因子の数によりT(低リスク群)〜V(高リスク群)の3群に分け、リスクに応じた治療を行なうよう規定した。
また、2次予防についてはLDL-コレステロール100mg/dL未満を目標に薬物療法を考慮するとした。

ガイドラインを説明した帝京大学医学部の寺元民生教授は、治療法の中心となる生活習慣の改善について禁煙、食生活の是正、身体活動、適正体重の4つが柱になると説明し、中でも禁煙の重要性を強調した。
NIPPON DATA80の結果から、1日21本以上タバコを吸う人は、非喫煙者と比べ2.17倍脳卒中死亡の相対危険度が高まるほか、冠動脈疾患死亡の相対危険度も4.25倍に高まるとした。一方で、禁煙を10年間継続した人は非喫煙者と同等のリスクになると説明した。
また、ガイドラインには新たにメタボリック・シンドロームの章を設け、「LDL-コレステロールとは独立した重要で危険な病態」として規定された。治療については、運動や食生活などの生活習慣の改善が重要としている。
…Japan Medicine 2月7日号
(07-02-16)
喫煙者の頭頸部がんリスク、大幅に上昇 DNA修復機能の衰えで
1月24日のニュースワイズによると、頭頸部がんの遺伝子的なリスク要因が見つかった。
DNA修復メカニズムの機能度が低いと、頭頸部がんリスクが著しく高くなることを、ワイツマン研究所らの研究グループが学術誌「がん研究」(Cancer
Research)で報告した。
研究の結果、OGG1と呼ばれるDNA修復酵素の活性度合いが低いほど、がんリスクが高くなることがわかり、OGG1の活性度合いが低い喫煙者は、正常値の非喫煙者と比べて頭頸部がんのリスクが70倍にも上ることが分かった。
OGG1の低活性化と喫煙という組み合わせは、喫煙関連のがんを発達させる可能性が著しく高くなることを示している。
…Japan Medicine 2月5日号
(07-02-15)
かかりつけ医のイメージは多様
日本医師会は、医療へのニーズや課題を探るため、国民・患者・医師を対象に行なった「第2回日本の医療に関する意識調査結果」を発表した。それによると「受けた医療」に対する満足度は「かかりつけ医」を持つ国民のほうが、持たない国民よりも高い傾向にあることが分かった。
調査は、昨年3〜4月に日医総研が全国の国民(1364人)、外来患者(979人)、医師(1288人)に実施。
調査結果によると、かかりつけ医がいる人の場合、受けた医療に満足している人が92.5%を占め、ない人の70.7%を上回った。
国民全体では55.3%の人が「かかりつけ医がいる」と回答。年齢が上昇するにつれて、かかりつけ医がいる割合が高くなる傾向がみられた。
逆に、かかりつけ医が現在いない人のうち、国民の3割、患者の7割が「(かかりつけ医が)欲しい」と回答した。
欲しいと望んでいながらも現在いない理由としては「医者、医療機関の情報が十分にない」「優れた医師と分かる判断材料がない」といった情報不足が4〜5割程度を占めた。また、患者では「どこで探せばいいか分からない」という回答が5割を超えていた。
…Japan Medicine 2月5日号
(07-02-15)
目標血圧まで厳格な降圧を
国内初のARB(アンジオテンシン2受容体拮抗剤)と利尿薬の合剤である「プレミネント」の発売を記念したシンポジウムが27日に開かれた。
シンポジウムでは、専門医から厳格な降圧の重要性が強調され、強い降圧効果を持つ合剤に対する期待する声が相次いだ。
猿田享男氏(慶応大名誉教授)は、国内で増加する心血管疾患を防ぐために、厳格な降圧が必要と強調。
ARBと利尿薬の合剤が発売されたことで、「血圧および高血圧病態の管理が一層良好となり、服薬コンプライアンスも改善される」と期待感を示した。
猿田氏は、
@降圧目標が低くなってきた
A降圧薬の併用療法が一般的になってきた
B服薬薬剤を減らす必要がある
などを背景に、新たな合剤への期待が強まったと説明。
国内の高血圧治療の実態については、患者調査やJ−HOME研究から、外来血圧は半数程度がコントロールされていないと指摘した。一方で、半数の患者は降圧薬を1剤しか併用していないと説明。薬剤数が増えるにつれ、患者の服薬コンプライアンスが悪くなるとのデータも示し、高齢化により合併症を持つ患者が増える中、合剤の果たす意義は大きいとの見解を示した。
…Japan Medicine 2月2日号
(07-02-15)
IDWR週報より 感染症情報
2007年第4週の定点当たり報告数は2.58であり、前週1.06の約2.4倍となった。(図1)
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グラフ引用元:IDWR週報 2007年第4週(1月22日〜1月28日) |
都道府県別では宮崎県(8.5)、愛知県(8.0)、山形県(7.5)、福島県(5.0)、滋賀県(4.4)、三重県(4.2)、岐阜県(3.6)、茨城県(3.5)の順であり、全国平均を大きく上回っている県は、九州、中部および東北地方でみられている。(図2)
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グラフ引用元:IDWR週報 2007年第4週(1月22日〜1月28日) |
…厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(1月22日〜1月28日)より
(07-02-15)
リウマチの原因、がんを増殖
聖マリアンナ医科大学の中島利博教授らの研究チームは、関節リウマチを進行させる原因たんぱく質の一つ「シノビオリン」が、がんを増殖させることを確認した。
シノビオリンの分泌を抑える物質があれば、リウマチとがん治療の両方に使える薬ができる可能性があるという。
…日本経済新聞 1月29日付
(07-01-30)
IDWR週報より 感染症情報
マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が続いている。(図参照)都道府県では沖縄県、大阪府、静岡県が多い。
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図 主要定点把握疾患の週別比較(マイコプラズマ肺炎) グラフ引用元:IDWR感染症週報 第9巻 1・2合併号 |
●エジプトでの鳥インフルエンザ流行状況
2人の患者から、検査上オセルタミビル耐性を有するH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出された。
検体が採取された2人の患者は、Gharbiyah県の16歳の少女と26歳男性である。彼らは姪と叔父の関係で、同じ家に住んでいた。
少女は06年12月19日に入院し、男性は12月17日に入院した。
2名に対し、12月21日にオセルタミビル(タミフル)1日2錠の処方が開始されたが、少女は25日に、男性は28日に死亡した。
現在のところ、エジプトおよび世界各地でオセルタミビル耐性が拡大していることを示す証拠はない。
WHOは、2006年6月に出されたH5N1型鳥インフルエンザウイルス感染患者の抗ウイルス薬治療に関する指針の変更は行なっていない。その理由は、これらの変異による耐性が臨床上どの程度であるかが十分に分かっていないからである。
これらの変異がヒトの間での感染力に関して変化を生じていることは知られていない。このようなことから、現在の公衆衛生上の影響は大きいものではない。このためにフェーズレベルを変更する必要性はない。WHOのパンデミック警戒レベルは3のままである。
…IDWR週報 2007年第1、第2週(1月1日〜1月14日)より
(07-01-30)
痰のDNA検査、肺がんの早期発見に高い精度示す
メリーランド大医学部の研究グループが、痰のDNA検査で肺がんが発見できる可能性があると報じている。
腫瘍抑制物質と考えられている2つの遺伝子が、痰の細胞内で減少しているかを検出する新しい検査方法で、第1ステージの肺がん患者の76%を見つけ出すことができた。
一方、細胞構造の変化を検出する既存の癌細胞診では、被験者の47%しか検知することができなかった。
今回の研究では、肺がん腫瘍から消えていくことが分かっている3つの遺伝子HYAL2とFHIT、SFTPCが痰細胞からも消えているかどうかを、第1ステージの非小細胞肺がん患者38人と、がんではない喫煙者36人、健康な非喫煙者28人を対象に調べた。
HYAL2とFHIT両方を組み合わせた場合、検出感度は76%にまで上り、特異度は92%にもなる。
がんではない喫煙者の8%に偽陽性がみられたが、健康な被験者には偽陽性はなかった。
…Japan Medicine 1月24日号
(07-01-25)
ガンの診断と治療に新たな分子マーカー
横浜市で開かれた第26回日本分子腫瘍マーカー研究会(当番世話人=帝京大学第一外科学講座・高見博教授)では、札幌医科大学の今井浩三学長が「分子マーカーを利用したガンの新しい診断と治療」と題する特別講演を行った。
今回、同学長はモノクローナル抗体の最新の知見と、エピジェネティクスを分子マーカーとする臨床展開を中心に発表した。
1975年に作製法が報告されて以来、モノクローナル抗体の研究は世界的に進展してきた。同学長は「モノクローナル抗体は既に大腸癌の標準治療になりつつあると言っても過言ではない」と述べた。
同学長らが作製した抗体には、単独で胃がん細胞にアポトーシス(※)を誘導することが確認されている。また、モノクローナル抗体は副作用が起きにくいという大きな利点を持ち、将来の新薬候補の25%を占めるに至っている。
同学長は「モノクローナル抗体は多様な形でさらに進化を遂げつつある。抗体自体も組み合わせてうまく使う時代に入ってきた」と述べた。
また近年、DNAの配列自体に変化はないが、メチル化やヒストン修飾によって遺伝子発現が抑制されるエピジェネティクスと呼ばれる現象が注目されている。
札幌医科大学第一内科グループ(豊田実講師、鈴木拓氏、秋野公臣氏ら)による検討では、ヒトの全遺伝子の約半分に相当する10,814個のうち、0.7%にあたる74個でメチル化が検出された。
さらに同グループは大腸癌ではある遺伝子の一部が、4〜6割の確率でメチル化されていることを初めて明らかにした。
同学長は「まだ種々の角度からの検討が必要だが、メチル化異常の検出は、新しいガンの早期診断法として非常に期待が持てる」と付け加えた。
(※)アポトーシス…個体の状態をよりよいものに保つため、引き起こされる細胞死のこと
(例:オタマジャクシからカエルへ成長する際の尻尾の消失)
…Medical Tribune 12月28日付
注釈引用元:wikipedia (http://ja.wikipedia.org/)
(07-01-05)