健康トピックス 2006

心筋梗塞 未然に把握 血中の特定たんぱく質測定

 北里大学の小川善資・助教授らは心筋梗塞の発症を未然に把握するのに有効な手法を考案した。
心筋梗塞は数日前に胸の痛みや息切れなどが起きやすいため、こうした症状が現れた時点でたんぱく質の変化を調べれば、薬物治療で予防できるとみている。

小川助教授らのラットを使った研究によると、血中に含まれる「PGM」と呼ばれるたんぱく質が増えることが明らかになった。
また、実際に心筋梗塞を起こした患者の血液試料を用いた調査では、発症1〜3日前の段階の血液に含まれるPGMが健康なときの基準値より2〜7倍に増えていたことがわかった。

…日本経済新聞 12月29日付

(06-12-29)


老化に関する2説

Two takes on ageing

 老化に関する、まったく異なるように思える2つの理論がある。
一方の理論では、老化は遺伝的に制御されているとしており、もう一方の理論では、老化はDNAの損傷が次第に増えていくために起こると考えているが、今回の早老症候群の研究から、この両方ともが正しい可能性がでてきたのである。

この早老症候群のモデルとして遺伝子操作により作り出されたマウスでは、若いうちに老齢マウスと同じ特徴が数多くみられるようになる。これは、DNA損傷が加齢に伴う機能低下を引き起こすとするモデルと一致するが、DNA損傷の蓄積速度や機能低下の速度には、遺伝的要因、特にインスリンシグナル伝達系が影響している。

このことから推測して、DNA修復系を活性化できれば、寿命を延ばしたり、高齢になってからの健康状態を改善できるかもしれない。

…Nature 12月21・28日号

(06-12-29)


最初の主要心血管イベントと死亡の予測に対する複数のバイオマーカー

Biomarkers for the Prediction of Cardiovascular Events and Death

実験方法:フラミンガム心臓研究(Flamingham Heart Study)で定期検査を受けている被験者3,209例において、10種類のバイオマーカーを測定した。

結果:バイオマーカーを従来の危険因子に追加したところ、死亡と主要心血管イベントのハザード比は有意に増加したが、各エンドポイントに対するC統計量の増加は小さかった。

結論:確立された危険因子の評価に対し、バイオマーカーの評価がもたらす付加的価値は小さいと思われる。

…The New England Journal of Medicine 12月21日号

(06-12-25)


IDWR感染症週報より 5類感染症情報

2006年第48週の感染性胃腸炎の定点あたり報告数は21.8であり、1981年以来の最高値であった第47週の値を更に上回った。(図1)

図1. 感染性胃腸炎の年別・週別発生状況(1996年〜2006年第48週)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 48週)

 また、マイコプラズマ肺炎の定点あたり報告数が過去5年間と比較してもかなり多い状態が続いている。(図2)

図2 主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較(感染性胃腸炎)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 48週)

…厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(11月27日〜12月3日)より

(06-12-21)


IDWR感染症週報より 5類感染症情報

 第47週の感染性胃腸炎の定点あたり報告数は、1981年7月に発生動向調査が開始されて以来、最高値を示した(図1・図2)。

図1 感染性胃腸炎の年別・週別発生数(1996〜2006年第47週) 
(2006年は赤い矢印で示した線)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 47週)

図2 主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較(感染性胃腸炎)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 47週)

 全国平均を上回っている都道府県は西日本に多いが、中部地方や関東地方でも報告の増加している地域が目立ってきている(図3・図4)。

図3 感染性胃腸炎の都道府県別報告状況(2006年第47週)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 47週)

図4 都道府県別ノロウイルス
検出報告状況
 06・07シーズン

(グラフ引用元:
IDWR感染症週報 第8巻 47週)
 


ノロウイルスによる感染性胃腸炎は牡蠣の生食による食中毒がよく知られているが、集団生活施設、あるいは病院等の医療機関においては、外部からの感染者が施設内にウイルスを持ち込み、集団感染を発生させることが多いものと推測される。
患者の吐物や下痢便が大きな感染源となるので、これらに対する迅速で適切な処理が必要である。
また、患者自身の手指や衣服にもウイルスが付着している可能性があるため、可能な限り患者を隔離すること等によって未発病者との接触を避けること、患者との接触後には流水・石鹸による手洗いを徹底することが重要である。


マイコプラズマ肺炎も、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が続いている(図5)。都道府県別では埼玉県(2.7)、大阪府(2.5)、沖縄県(2.1)が多い。

図5 主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較(感染性胃腸炎)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 47週)

…厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(11月20日〜11月26日)より

(06-12-11)


赤ワインに含まれるプロシアニジンと血管の健康状態

 赤ワインの健康増進作用は盛んに吹聴されているが、この作用にかかわっている可能性がある物質としてプロシアニジンが見つかった。この物質は血管に作用するポリフェノールであり、フランス南西部とイタリアのサルデーニャ島産のワインに特に豊富に含まれている(図を参照のこと)。

 これらの地域はまた、集団内に長寿者が多い地域としても知られる。

図:赤ワインのプロシアニジン含有量と、血管への作用の関係

 図中のNu(イタリア サルデーニャ ヌオロ)、swF(フランス南西部)で生産された赤ワインは、プロシアジニン濃度が特に高い。(c、d図)

グラフ引用元:Nature 11月30日号

…Nature 11月30日号

(06-12-05)


IDWR感染症週報より 5類感染症情報

 感染性胃腸炎の報告数が大きく増加しており、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い状態が続いている(図1)。
 

図1 感染性胃腸炎の年別・週別発生状況(1996〜2006年第45週)
    (2006年は赤矢印で示した線)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 45週)


都道府県別では大分県、宮崎県、岡山県、佐賀県、島根県、三重県、富山県が多く、全国平均を上回っているのは西日本に多い(図2)。
 また、第34〜45週の定点あたり累積報告数をみると、熊本県、大分県、福井県、宮崎県、鳥取県、島根県、三重県の順に多く、やはり西日本が中心である(図3)。
 

2 感染性胃腸炎の都道府県別報告状況(2006年45週)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 45週)

図3 感染性胃腸炎の都道府県別報告状況(2006年34〜45週)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 45週)


…厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(11月6日〜11月12日)より

(06-12-01)


ケーキを食べても大丈夫? - レスベラトロールで寿命改善

 高カロリー食を与えられているマウスに、赤ワインに含まれるレスベラトロールを経口投与すると、低カロリーの餌を与えられているときの生理的影響の多くを再現でき、健康と寿命に改善がみられる(血糖値やインシュリンの分泌の改善が認められ、3〜4ヶ月寿命が延びた)ことが明らかとなった。

…Nature 11月16日号

(06-11-28)


小児と青年の約500人に1人が糖尿病 - 2001年の米国調査

 サウスカロライナ大学のAngela D. Liese博士らの調査によると、米国では2001年に小児と青年の約500人に1人が糖尿病と診断されていたとPediatrics(2006;118:1510-1518)に発表した。

 Liese博士らは、全米のおよそ8,070万人の小児と青年のうち約15万4,000人が糖尿病であったと断定している。

…Medical Tribune 11月23日号

(06-11-27)


たばこ1日8本でも心筋梗塞リスク倍増

 マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)人口保健調査研究所のKoon K. Teo教授らは、たばこの使用と心筋梗塞リスクとの関係に新たな情報をもたらす結果をLancet誌(2006;368:647-658)に発表した。

 Teo教授らは「たばこの常用は、世界的に特に男性でAMI(急性心筋梗塞)の最重要原因の一つである」と結論し、心血管疾患を防ぐためにはあらゆる形態でのたばこの使用を阻止すべきであると警告している。
 Teo教授らによると、1日5本の喫煙でさえ相当なAMI(急性心筋梗塞)リスクに関連し1日あたり8〜10本のたばこでAMIリスクは2倍になるとしている。

…Medical Tribune 11月23日号

(06-11-27)


06-07シーズンのインフルエンザ発生報告開始 - 厚労省

 厚生労働省は17日より、今シーズンのインフルエンザ様疾患発生報告を発表した。

 第1報では、滋賀で24名の患者があり、学級閉鎖が1校あった。また、24日に出された第2報によると岐阜で53名の患者があり、うち25名が欠席、1校が学年閉鎖となった。

(06-11-27)


 喫煙率、道内が依然首位 男性7年連続、女性は30年以上 JT調査

 
 日本たばこ産業(JT)は二十二日、今年の全国たばこ喫煙者率調査の結果を発表した。道内は、男性の喫煙者率が50.9%、女性が22.5%で全国九地域別では依然として最も高かった。

 男性は七年連続、女性は三十年以上の全国一。調査方法を変えたため単純比較はできないが、昨年は男性が53.8%、女性が18.1%だった。

 全国の喫煙者率は、男性が41.3%、女性が12.4%で、男女平均は26.3%。調査をはじめた1973年に比べ 道内の喫煙率は減少しているが、全国平均に比べ減少幅が広い。

 

…11月23日付 北海道新聞より

コメント:

 どうして喫煙率が高いのかはわからないが、男性の喫煙率が50%を超えるのは恥ずべきことだ。
 喫煙率を40%以下に抑えるよう、医療機関などでもっと積極的に啓蒙活動を行うことが必要かもしれない。

慶友会  

(06-11-24)


2006年 HIV感染者3950万人へ

 
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は21日、世界のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者(エイズ患者を含む)の2006年の推計総数を発表した。
 HIVに感染している人は3950万人で、2年前に比べて260万人増加した。

 東欧・中央アジア(旧ソ連圏)で約30万人増加したほか、日本を含む東アジアも約13万人増加した。また、女性の感染者が120万人増え1770万人となった。

…11月22日付 産経新聞より

(06-11-24)


卵の摂取頻度は心筋梗塞リスクと関連しない


 卵の摂取頻度と心筋梗塞の発症リスクの間には関連が認められない - 。こんな結果が厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎氏、国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部)による研究により示された。

 研究の結果、卵を食べる回数が少ないほど心筋梗塞リスクが低くなるという関連は認められなかった(表1)。むしろ、卵をほとんど食べないグループで心筋梗塞のリスクがやや高くなっていた。

 また、コレステロール値240r/dL以上の人の心筋梗塞リスクは、180r/dL未満の人の2.17倍だった(表2)。

表1:卵摂取と心筋梗塞リスク 表2:血清総コレステロールと心筋梗塞リスク

(グラフ引用元:Japan Medicine)

…Japan Medicine 11月20日号

(06-11-20)
 


IDWR感染症週報より 5類感染症情


 
マイコプラズマ肺炎の感染者が、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が続いている (図1)。
 都道府県別でみると大阪府、沖縄県、群馬県が多い。
 また、岩手県をはじめとする東北地方でも報告数が多く、注意が必要である。

こんな症状があれば風邪ではなく、マイコプラズマ肺炎を疑って検査を受けましょう

・40度近い発熱
   ・何週間もつづく咳(たんが混ざることもあり)

 

図1:マイコプラズマ肺炎の定点あたり観測数の推移(’06年=矢印で示した赤線)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 43号)

 また、感染性胃腸炎の報告数が過去5年間と比較してかなり多い状態にある(図2)。
 感染症胃腸炎は、ノロウイルスとも呼ばれるSRSV(小型球型ウイルス)や、ロタウイルス、腸管アデノウイルスなどによって引き起こされ、患者の便や、汚染された水や食品などによって経口的に感染する。
 都道府県別でみると熊本、鳥取、大分、福岡、広島、三重など西日本で多い傾向にある。
 感染性胃腸炎の発生は今後、12月下旬のピークに向かって急速に増加していくものと考えられ、今後ともその発生動向の推移には注意深い観察が必要である。

感染症胃腸炎の症状には、発熱、下痢(血便)、悪心、嘔吐、腹痛などがあります。
感染が疑われる場合は、速やかに検査を受けましょう

 

図2:感染性胃腸炎の定点あたり観測数推移(’06年=矢印で示した赤線)

(グラフ引用元:IDWR感染症週報 第8巻 43号)


厚労省/国立感染症研究所 IDWR感染症週報(10月23日〜10月29日)より

(06-11-10)



進行腫瘍を発見するための結腸直腸癌スクリーニングにおける大腸内視鏡検査


背景:結腸直腸癌スクリーニングの勧告は、年齢と癌の家族歴のみに基づいており、性別には基づいていない。

方法:40〜66歳の50,148例を対象にした、内視鏡検査によるスクリーニングデータの解析を行った。40〜49歳の被験者については、なんらかの癌の家族歴があった場合のみ適格とした。
 結腸直腸癌の家族歴を報告したのは、50〜66歳の13.3%と、40〜49歳の66.3%であった。

結果:進行腫瘍は、50〜66歳の2553例(5.9%)と40〜49歳の243例(3.4%)で検出された。
 また検証データセットでは、性別(男性であること)と進行腫瘍の相関性が認められた。それぞれの年齢群で、進行腫瘍が発見された人の割合は、男性のほうが女性よりも高かった。

結論:男性では、女性よりも高い割合で進行腫瘍が発見されたことから、大腸癌スクリーニングの勧告を改良する必要があると考えられる。

…The New England Journal of Medicine 11月2日号

(06-11-07)



胸部CTで検出されたT期肺がん患者の生存率
 

実験方法:1993〜2005年の間に、肺癌リスクに曝露されている無症候の31,567人を検診し、そのうち27,456人においては7〜18ヶ月後に再度検診を行った。

実験結果:484人が肺がんと診断された。このうち412人(85%)がT期肺がんであり、このグループの10年生存率は88%と推定された。また、がんと診断されてから1カ月以内に手術を受けた302人の生存率は92%であった。 (右図)

結論:定年のらせんCT検診は、治療可能な肺がんの検出に役立つ。




…The New England Journal of Medicine 2006年10月26日号より

(06-11-01)


侵襲性肺炎に対する7価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性
 

 この実験により、7価肺炎球菌結合型ワクチンは健康な子供と慢性疾患の子供の両方の肺炎を予防し、標準的な予防接種スケジュール以外で使用しても有効であることが確認された。

…The Lancet 2006;368:1495pより

(06-10-31)


ビタミンDで膵がんリスクがほぼ半減
 

 ノースウェスタン大学(シカゴ)予防医学のHalcyon Skinner博士とハーバード大学(ボストン)の研究者らは「ビタミンD錠を服用すると、膵 がんリスクがほぼ半減することを見出した」との結果をCancer Epidemiology Biomarkers&Prevention(2006;15:1688-1695)に発表した。

 ビタミンD(400IU/日)を摂取した場合、膵癌リスクが43%低下することが認められた。この知見は、ビタミンDには膵癌を予防する可能性があることを示唆するものである。

 Skinner博士は、「ビタミンDは前立腺癌の予防と治療に強い効力のあることが示されており、太陽光曝露が強い地域では、前立腺癌、乳癌、大腸癌の発生率と死亡率が低下することから、我々は膵癌リスクに対するビタミンDの役割を検討することにした」と述べた。

…Medical Tribune 10月26日号より

(06-10-30)


薬剤で糖尿病予防の可能性 - 国際的DREAM試験が立証


 マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)Michael G. DeGroote医学部の市民健康調査研究所とハミルトン保健科学が行ってきた、多国籍臨床試験であるDREAM(Diabetes Reduction Assessment with Ramipril and Rosiglitazone Medication)試験の結果が、欧州糖尿病研究学会の第42回年会で発表され、マレイン酸ロシグリタゾンは被験者が糖尿病に罹患する可能性を60%減少させたことが明らかにされた。

  被験者にはロシグリタゾンか、またはプラセボ(偽薬)が3年間投与された。試験の結果、糖尿病を発症したのはプラセボ群の26%に対し、ロシグリタゾン群では12%であった。また、血糖値が正常範囲になったのは、プラセボ群では30%であったのに対してロシグリタゾン群では51%であった。

 この試験の治験統括副主任で同大学内科のHertzel Gerstein教授は「この結果は将来、ヘルスケアに重要な意味をもつものだ。今回の試験の結果により、健康的ライフスタイルへのアドバイスにロシグリタゾンを加えることができる。この薬剤により、糖尿病リスクの高い人の罹患率をかなり低下できることが立証された」と述べた。

…Medical Tribune 10月19日号より

(06-10-23)


母親の喫煙がSIDSに関連


 ブエノスアイレス大学心臓病学研究所のJose Milei博士は、妊娠中の喫煙女性は胎児を早期心疾患リスクに晒しており、出産後は乳幼児の死因となる乳幼児突然死症候群(SIDS)を招く可能性があると世界心臓病学会(WCC)/欧州心臓病学会(ESC)で報告した。

 喫煙者の母親から死産した児12例中10例と、喫煙者の母親から生産したSIDS児16例中15例に多発性冠動脈病変が認められた。
 非喫煙者の母親の場合、乳児に病変が見られたのは死産10例中2例、SIDS20例中3例であった。群間差は統計学上きわめて有意であった。

 同博士は「母親の喫煙は明らかにSIDSと関連しているとは言わないまでも、そうであることを占めるエビデンスが増加している」と指摘した。

…Medical Tribune 10月19日号より

(06-10-23)


あたらしい糖尿病治療薬
New diabetes drug


 米国薬剤監視委員はこのたび、メルク社開発の糖尿病治療に画期的な効果をもたらす新薬、JANUVIAを承認した。

 一般的な糖尿病である二型糖尿病(米国では2100万人、全世界では2億人以上の患者がいる)を対象としているこの薬は、体重が増えることもなく、また従来の薬に比べて副作用も少ない。さらにほかの薬と併用することも可能である。

 メルク社によると、日あたり5ドル(約590円)、一ヶ月あたり145ドル(約17110円)と、現行の糖尿病薬なみの値段で販売できるとのことである。

…International Herald Tribune 10月19日号より

(06-10-21)


30代女性のがん罹患率、男性の2倍


 厚生労働省研究班による日本癌学会での発表(9月30日)によると、日本人の30代女性は同世代の男性に比べ、がん罹患率が2倍以上であることが明らかになった。

日本のがん罹患者は人口10万人に対し30代前半の男性が27人、後半が50人なのに対し、女性は前半67人、後半115人で約2.3倍〜2.5倍となっている。

また、30代女性のかかるがんのうち乳がんと子宮がんが全体の60%を占めていることも明らかになった。

(06-10-16)


手術少ないほど高死亡率 がんや心臓病で学会調査


 1年間の肺がん手術が10件に満たない医療施設は、150件以上手掛ける施設に比べて手術に伴う死亡が最大約4.9倍になるとする調査結果を、日本胸部外科学会が1日発表した。

 肺がん手術による死亡率は全体平均で約1%だが、全体の約23%にあたる手術数が年9件以下の施設は平均約1.6%であった。

 そのほか、食道がんでは年24件以下の施設は死亡数約3倍、心臓でも年100件以上と24件以下では約2.2倍の差があった。

(06-10-16)


Ca摂取と日光で大腸がん発症リスクほぼ半減


 九州大医学研究院予防医学の古野純典教授、溝上哲也氏(現・国立国際医療センター研究所)らによる「福岡大腸がん研究」によると、カルシウムをもっとも多く摂取する人は、最も少ない人と比べ、大腸がんにかかるリスクが32%低かった。また、ビタミンDも同様に22%大腸がんリスクが低かった。

 さらに、日光を浴びる機会の少ない人ではさらに効果が大きく、大腸がんリスクの軽減は37%に上昇した。

 溝上氏は「カルシウムを摂取するとともに、適度に日光にあたるか、ビタミンDを摂取することによって大腸がん予防が期待できる。カルシウムを十分に摂取することで、大腸がんの発症を25%減らすことができる」と話している。

…Japan Medicine 10月4日付より

(06-10-16)


妊婦のインフルエンザ感染で出生児が成長後に障害


 コロンビア大学(ニューヨーク)で保健経済学を専門とするDouglas Almond教授は、Journal of Political Economy(2006;114:672-712)に寄稿した論文の中で、「胎児期にインフルエンザに感染すると、成人後に障害が現れたり、短命だったり、あるいは経済的に恵まれないなどの問題が生じやすい」と述べた。

 同教授は「出生児の母体がインフルエンザに感染していた場合、感染していなかった場合に比べ高校の卒業率が15%低く、同集団の男性の年収は2500ドルも少なかった。さらに、61歳になるまでに障害が発現する確率が20%も高くなっていた。60歳で存命中のこの集団の死亡率も高く、感染していない集団は6年の余命を期待できるのに対し、この集団はわずか3年しかない」と予測している。

(06-10-11)


第21回米国高血圧学会(ASH)から…ビタミンE投与で心血管疾患発症率が上昇


 動物モデルによる研究において、高脂血症、糖尿病、高血圧、加齢、喫煙などは全てROS(反応性酸化物質)の産生増加につながり、それは腎臓や血管を含むさまざまな組織で認められている。
 エモリー大学のDavid G.Harrison氏は「ビタミンEやビタミンCの酸化ストレスに対する影響より血管内膜の平滑筋における過酸化物の生成のほうが数百万倍速いため、ビタミンCおよびビタミンEの投与は意味がないと考えられる」と述べた。
HOPE−TOO試験の結果、心血管疾患リスクの高い55歳以上の患者に対してビタミンEを投与したところ、心不全や心筋梗塞などの心血管疾患の発症率が上昇した。

…Medical Tribune 9月28日付より

コメント:

 サプリメントとしてのビタミンE、ビタミンCがその効果についても見直されています。

                                                     慶友会

(06-10-10)


メタボリックシンドロームと頚動脈硬化の関係
 

 三井記念病院総合健診センター(東京都)で、頚動脈超音波を含めた人間ドックを受診した8,143例を対象にして検討が行われた。
 検討の結果、140/90mmHg未満の症例に限定した場合、メタボリックシンドロームが存在しても、動脈硬化のリスクを増加させるわけではない可能性が示された。

コメント:

 メタボリックシンドロームは生活習慣病の発症・脳卒中・心筋梗塞症の危険因子として、具体例が次々に報告されていきます。

                                                     慶友会

(06-10-10)


眠って体重を落とす


流行病のように増加している肥満と戦うために、私たちはもっと食事を少なくしてたくさん運動するよう言われている。しかし、たくさん睡眠をとることもまた、脂肪と戦う方法であるかもしれない。

睡眠時間を増やすことは、とても楽に肥満を制御する方法である。
- David Allison(アラバマ・バーミンガム大)

一晩あたり8〜9時間の睡眠時間をとることができるようになれば、アメリカの肥満問題は解決するだろう。
-Fred Turek(イリノイ州エバートン・ノースウエスタン大)
 

…Nature 9月21日号より

 

(09-10-04)


 糖尿病既往とがん疾患リスクの関係

  糖尿病は、肝がん(男性)、卵巣がん(女性)の危険因子と考えて検診を受ける。
  厚労省研究班(主任研究者 津金一郎 国立がんセンター)による研究で、「糖尿病になったことがある人は、がんのリスクが1.2〜1.3倍高くなり、20〜30%ほど後にがんになりやすくなる」ことがわかった。

  40〜69歳の男性10万人を調査期間11年で、男性3907人、女性2555人が何らかのがんにかかった。

  糖尿病既往でがんになり易いかどうかをみると、





男性では肝がんは2.24倍、女性では卵巣がんが2.42倍で、これらのがんに対しては糖尿病の既往の有無が危険因子となり得る。

コメント:

 糖尿病がある男性は肝・胃・大腸がん、女性では卵巣・肝・胃がんの検査を受けるようにすすめます。

                                                     慶友会

(06-10-02)


米ホウレンソウ「O157感染」 2億ドル市場打撃、マックもメニュー撤収

 アメリカ産ホウレンソウを介した病原性大腸菌O157への感染は18日、全米の21州に拡大し、患者は114人(死者1人)に達した。週明けを迎えて社会的な影響も本格化しており、マクドナルド社など大手外食チェーンは同日、サラダなどホウレンソウを使ったメニューの中止を発表した。
 米食品医薬品局(FDA)では、前週末の段階で袋入りのサラダ用など、ホウレンソウを生で食べないよう勧告。全米レストラン協会も加工品以外のホウレンソウをメニューからはずすよう傘下の飲食業者に求めていた。

産経新聞 9月21日付

(06-09-22)


糖尿病の治療薬が予防につながる可能性
Drug for treating diabetes shows hope of prevention

 血糖値異常が認められた5,000人を対象とした研究によると、ロシグリタゾンは、研究対象の半分以上で糖尿病罹患(死亡)リスクを減少させた。また、ラミプリルという血圧治療薬が、糖尿病罹患リスクこそ減少させなかったものの、血糖値の正常化を助けたことが明らかになった。
 だが、実験期間中に健康な食事と生活習慣についての指導があったので、薬による影響力がどのくらいかはわからない。「生活習慣の改善だけで、最大で58%の糖尿病罹患リスク減少になることがわかっています」と、ボストン ジョスリン糖尿病センターのMartin Abrahamson医長は述べた。
 全世界で約2億2000万人、アメリカ全土では1800万人が、慢性腎臓病、切除および死亡につながりかねないこの病気にかかっている。

*ロシグリタゾン…インスリン抵抗性改善薬。グラクソ・スミスクライン社開発
ラミプリル…高血圧治療薬。King Pharmaceuticals社

(06-09-22)


血圧変動が脳卒中の死亡リスクに

 メイヨー・クリニック(ロチェスター)救急科のLatha Stead博士らは、脳卒中発作後最初の数時間における血圧の著しい変動は、患者の生存率を劇的に低下させることがわかったとNeurology(2006;66:1878-1881)に発表した。

 患者が救急治療を受けている間、5分おきに血圧を測定した結果、救急科に搬入されてから3時間以内に血圧が大幅に変動した患者は、脳卒中発作から90日後も生存している可能性が非常に低いことが判明した。

(06-09-12)


日本人の、日本人による、日本人のためのエビデンス、CASE−J

 我が国の高血圧研究の中でも、4500名を超える歴史的な大規模臨床試験、CASE−Jがいよいよ開催される。来る10月15〜19日、福岡で開催される、第21回国際高血圧学会(ISH2006)の Late-Breakingで、CASE−J運営委員長萩原俊男氏(大阪大学附属病院長)から発表される予定である。
 CASE−Jの研究代表者である猿田享男氏(慶應義塾大学名誉教授)の話: 「我が国初の高血圧治療ガイドラインであるJSH2000はEvidence Basedのガイドラインであったが、残念なことに引用論文のほとんどが欧米で行われた試験であった。
  医療システムの違いから欧米のエビデンスをそのまま受け入れるには問題があったが、それに頼らざるを得なかった。この状況を打破し、日本人のエビデンスを構築しない限り、日本人の公衆衛生に寄与できる真のガイドラインは出来ない。この強い意志から、日本高血圧学会が中心となって行われているのがCASE−Jである。」
 CASE−Jの対象は、脳・心・腎などの主要臓器障害を発現させるリスク因子を一つ以上有するハイリスク高血圧症である。

ハイリスク高血圧症の定義

下記の心血管系リスク因子を1つ以上有する 

●重症高血圧

 (≧180/110mmHg

●2型糖尿病

●脳イベント既往

 (6ヶ月以上前の脳出血・脳梗塞・TIAの既往)

●心イベント既往

 (左室肥大、狭心症、6ヶ月以上前の心筋梗塞)

●腎障害

 (3ヶ月以内の蛋白尿、sCr≧1.3mg/dL

●動脈硬化性末梢動脈閉塞症

 (Fontaine分類2度以上)

Medical Tribune  8月31日付より

(06-09-04)


 飲酒・喫煙・男性が結腸直腸癌の外因性リスクに


 ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部(シカゴ)内科のAnna L.Zisman博士らの研究で、飲酒、喫煙男性が結腸直腸癌(CRC)の早期発症や遠位CRCと関連する因子であることが示された。詳細はArchives of Internal Medicine(2006;166:629-634)に発表された。

 Zisman博士らは「大腸鏡検査を行う目的は、CRCに進展する前に腺腫性ポリープを除去することで(CRCへの進展には約10〜20年かかる)、飲酒と喫煙習慣のある男性では50歳以前にスクリーニングを開始すべきである。ただし、飲酒と喫煙をしないからといって自動的に低リスク群となるわけではない」と述べている。

 飲酒・喫煙習慣のある人は、飲酒歴と喫煙歴のいずれもない人と比べ、7.8年早くCRCを発癌していた。また、いずれか一方のみの習慣のある人は、いずれの習慣もない人と比べ5.2早く発癌していた。飲酒・喫煙習慣のないCRC患者の平均診断年齢は71.3歳、飲酒・喫煙習慣のあるCRC患者では62.6歳であった。

Medical Tribune 8月31日付より

(06-09-04)


ガンの予防

 25年前の、Richard DollとRichard Petoによる画期的な研究が、1970年に米国で診断された癌のうち75〜80%が喫煙、飲酒や食事などの環境要因を改善することによって理論的に予防されたかもしれないと結論付けた。
 最近の研究によって、癌の危険を増加させる要素に、さらに肥満と運動不足が追加された。
 現在、米国の癌の原因のうち、喫煙が30%、肥満は15%、貧しい食事は25%を占めるに至る。

 黒色腫や、肺癌の予防キャンペーンが成功したことは、予防が効果を発揮するということの証拠にほかならない。
 例えば、オーストラリア政府の勧告であるサン・スマート・プログラム(長そでのシャツを着よう、日焼け止めを塗ろう、帽子をかぶろう)によって、オーストラリアでの黒色腫発生率はイングランドなどの日照量が少ない国よりも少なくなったのである。
 また、60年代後半より始まった禁煙運動の効果がようやく出始め、90年代以降の喫煙による癌の発生は激減している。

 しかし、まだ多くの対策がなされる必要がある。
 煙草の問題は、いまだ煙草の消費量が増え続けている発展途上地域においては解決がなされていない。
 開発された地域が次に直面する最も大きな脅威は、流行感冒のように増加している肥満傾向である。アメリカとヨーロッパを例にとると、人口の3分の2は太りすぎているか、肥満である。

 高カロリーで低栄養な加工食品は、健康的な食品よりはるかに容易に手に入るため、現在、いったん富と暴飲暴食と結びつくと、社会的に貧しい層でも不均衡に肥満になる。
 政府には、推奨する青果物を1日あたり5品目食べさせることを、目標として周知徹底させることが求められる。

 運動不足にも取り組みが必要である。まず、スポーツを始めることを奨励すべきだが、運動を日常の習慣にすることを奨励する計画(例:自転車通勤や、徒歩での通勤が快適に行えるような都市計画)だとさらに影響力が長持ちしそうである。

 現代のライフスタイルは、我々人類が元来生物学的に進化してきた環境とますます食い違ってきている。この食い違いを縮めるよう努めることは、結果として癌などの病気を減少させるのに大いに役立つだろう。

The Nature 8月17日号 より

(06-08-28)


体重と合計死亡率と、心血管障害による冠動脈疾患との関係:コホート研究による調査

調査方法:

 合計死亡率のためのリスク概算を、心血管障害のあるなしにかかわらず、冠動脈疾患のある人たちを体重別に分け、少なくとも6カ月間継続してコホート研究により調査した。

 「冠動脈疾患」の定義はPCI(経皮的冠動脈形成術)、冠動脈バイパス移植、心筋梗塞である。
 リスク概算を、体重別に5つのグループ(やせている、標準体重、やや太っている、太っている、大変太っている)に分けて行った。

結果:

 250152人を対象として、平均3年9ヶ月に及ぶ40の研究を行った。
 平均的なBMI値を持つ人と比較すると、BMI値が低い人は、合計死亡率、および心疾患死亡率における相対危険度が高く、やや太っているグループは合計死亡率、心疾患死亡率における相対危険度がともに最も低かった。
 太っているグループも、双方の相対危険度の増加は認められなかった。
 たいへん太っているグループも合計死亡率は変わらなかったが、心疾患死亡率における相対危険度は最も高かった。

考察:

 やや太っているグループと、太っているグループでみられたこれらの結果については、交絡因子による調整であるとは解釈することができないだろう。
 これらの調査結果については、太っている人とやせている人の集団とを区別することについての、BMI値の識別力不足であると説明することができるだろう。

The LANCET  2006;368:666-678 より抜粋

(06-08-28)


52ヶ国のケース・コントロール研究による、喫煙と心筋梗塞リスクの関係

方法:

 急性心筋梗塞の標準的なケース・コントロール研究(※)を52ヶ国、27098人(12461の症例、14637の対照)を対象として行い、
・これまでの喫煙歴、また現在喫煙しているかどうか
・タバコの種類 ・喫煙の量 ・嗅ぎタバコの効果 ・受動喫煙の有無

  これらと急性心筋梗塞リスクとの関係を調査した。なお、タバコを吸う人と吸わない人の生活習慣の違いを考慮した。

調査結果:

 現在喫煙している人は煙草を吸わない人と比べ、急性心筋梗塞リスクがより高い(オッズ比:2.95、95%信頼区間:2.74〜3.14。p値<0.0001)。また以前喫煙していた人のオッズ比は、煙草をやめたあと3年以内に1.87(95%信頼区間:1.55〜2.24)に低下した。ビディー(インドの煙草)や、噛み煙草を吸う人も同様に急性心筋梗塞リスクが高く、噛み煙草と巻きたばこを両方吸う人はリスクがもっとも高かった(オッズ比:4.09、95%信頼区間:2.98〜5.61)。

  受動喫煙も同様にリスクを上昇させる。週21時間以上副流煙にさらされる人のオッズ比は1.62(95%信頼区間:1.45〜1.81)であった。
  年齢・性別でみると喫煙者のうち若年男性が最もリスクが高く(58.3%、95%信頼区間:55.0〜61.6)、高齢女性が最も低かった(6.2%、95%信頼区間:4.1〜9.2)。

結論:

 喫煙は、男性の場合特に、急性心筋梗塞の最も重要な原因の1つである。噛み煙草などを含む全ての種類の喫煙、および受動喫煙は、心血管疾患予防の妨げになると思われる。

※ケース・コントロール研究…患者群と対照群を選び、過去に逆のぼって食習慣、喫煙、飲酒、職業などを調べ、どのような点で患者群と対照群との間で差が見られるかという点に着目して、原因や危険因子を究明しようとするもの。

The LANCET 2006;368:647-658 より抜粋

注釈引用元:http://ciscpyon.tokai-sc.jaea.go.jp/dresa/dresa/term/br000890.htm

(06-08-28)


 ビタミンB12や葉酸と痴呆の防止との関係
Vitamin B12,Folic Acid,and the Prevention of Dementia
 

 痴呆の防止法を見つけることは、医学調査にとって重要である。
 痴呆はアメリカに約450万人いるといわれており、その手前の段階(認知の衰えがくる段階)ならばその人数はさらに多くなる。
 1998年、アルツハイマー病の患者には血漿中のホモシステイン(かつて心血管疾患の要因とされていた、アミノ酸のひとつ)の濃度が高いことが認められたことから、痴呆にホモシステイン濃度が関係しているのではないかという仮説が立てられた。
 そして、フレイミングハムによる8年間の研究における、ホモシステイン濃度の高い人(1リットルあたり14μモル以上)は、濃度が低い人と比べて痴呆リスクが約1.9倍であったという実験結果などにより、ホモシステイン濃度は、痴呆症やアルツハイマー病の強力な危険因子であるという仮説を裏付けるだけの強い説得力がある証拠となった。

 また、ホモシステイン濃度が、葉酸とビタミンB12などのB群ビタミンを含む栄養補助食品を摂取することによって低下するので、これらの物質が痴呆の防止につながる可能性が示された。
 この仮説を裏付けるため、痴呆では無い老人を無作為に選んで2つのグループに分け、一方のグループには葉酸塩(1000μg)、ビタミンB12(500μg)、およびビタミンB6(10r)の入った栄養補助食品を、もう一方のグループには何も入っていないただのカプセルをそれぞれ2年間継続して飲んでもらい、両方のグループに実験開始時と2年後の終了時に認知機能のテストを受けてもらう、という実験が行われた。
 ビタミン剤は血漿中のホモシステイン濃度を下げたが、認知機能にはなんら影響を与えなかったことから、この実験は仮説の裏付けにはならなかったが、実験対象人数が少なすぎること、栄養剤の処方期間が短過ぎたこと、また認知機能テストの点数が実験中に元の点数に戻ってしまったことなどから、この実験は統計学的な信頼度に欠ける。

 高齢者になるほどビタミンB12欠乏症は一般的なものとなり、65歳時で全体の5%であるものが80歳時では全体の20%にまで増える。ビタミンB12は、高齢者のホモシステイン濃度において葉酸よりもさらに重要な要素である。研究の結果、生物学的にビタミンB12欠乏症と同一であるとみなされた高齢者のうち、貧血や神経障害または認知障害を持っているものはごくわずかである。

 ビタミンB12欠乏症の高齢者の治療のために、70歳以上の血管系疾患、貧血、認知障害の兆候がない人々に対し、ビタミンB12を含む健康食品を投与した結果からなんらかの新たな証拠が発見されるべきである。

JOURNAL of MEDICINE 6月29日号

(06-08-25)


人類の驚くべき変化 - 鍵となるのは幼少時?
Human's startling change: Are the first years a key?

 幼少時の栄養状態が、その後の人生の健康状態を決定付ける重要な要素となっている。
 1910年以前に65歳となった連合軍の退役軍人と、80年代に65歳となる第2次世界大戦の退役軍人を比較したところ、連合軍の退役軍人より、第2次世界大戦の退役軍人のほうが35%ほど慢性疾患が少ない。
 幼い頃の病気が老年時の慢性疾患の素因となることも明らかとなった。 「胎児時および生後2年間の健康状態によって中年以降の健康状態が決定される可能性が高い」との研究成果を、イギリス・サウザンプトン大の疫学教授であるデヴィッド・ベーカー博士が発表した。
 1944〜1945年のオランダ大飢饉において、生き残った子供が現在中年となっているが、幼少時に充分な栄養摂取をできなかったたその年代もやはり慢性疾患(心臓病、腎臓病、糖尿病)が他の年代と比べて多い。
 だが、これらのデータは無作為抽出ではないとの批判もある。
 コロンビア大のオルモンド教授はスペイン風邪の大流行に着目し、スペイン風邪流行中に妊婦だった者と、スペイン風邪流行後もしくは直前期に妊婦だった者の二つの集団とを比較した結果、スペイン風邪流行中に生まれた胎児は他の年代に比べ腎臓病疾患率が高いことを発見した。これは性別、居住地域、教育水準、また白人であるか否かにかかわらず起こっている、とオルモンド氏は指摘する。

7月31日付  International Herald Tribune

(06-08-02)


進化における革命 − より大きく、より健康に、よりスマートに
A revolution in evolution: Bigger, healthier, smarter

 最も驚くべきことは、心臓病や関節炎、肺病のような慢性疾患が10年〜25年周期で発生していることである。
 フィンランド、イギリス、フランス、スウェーデン等の大規模な研究によると、1900年度においては、65歳以上の人口のうち85歳まで生きられたのはわずか13%だったが、現在は65歳以上人口の約半分がその歳まで生き永らえる。
 また、現在のアメリカの男性は100年前と比べ、約3インチ(8cm)身長が高く、約50パウンド(23kg)体重が重い。
 発展途上国も含む、全ての国と地域でこれと同じ現象が起こっている。
 「これは有史上全ての人間にとって”驚くべき進化”である。我々は今まさに進化している」と、シカゴ大のフォーゲル教授は述べる。

7月31日付  International Herald Tribune

(06-08-02)


第51回 日本透析医学会より

 第51回日本透析医学会ワークショップ「統計調査から見たわが国の透析の現況と予後」で、旭川赤十字病院腎臓内科の和田篤志部長らは、透析患者の各脂質値が低いほど全死亡や心不全死のリスクが高かったが、心筋梗塞の新規発症については非透析者と同様、LDLコレステロール(LDL-C)が高いほど、あるいはHDLコレステロール(HDL-C)が低いほど高リスクで、LDL-Cは非透析者より低い100mg/dl以上で高リスクであったと報告した。
 同部長らは、2003年末の統計調査対象で週3回透析を受けた約17万2000例において各脂質レベルを検討した。その結果、全死亡リスクは総コレステロール(TC)180mg/dl未満、トリグリセライド(TG)100mg/dl未満、LDL−C 80mg/dl未満、さらにHDL-C 40mg/dl未満で有意に高かった。心不全も、各脂質値が低いほど高リスクとなった。しかし、心筋梗塞新規発症のリスクは、TC 160mg/dl未満で有意に低く、LDL-C 100mg/dl以上、HDL-C 40mg/dl未満で有意に高かった。

(06-07-24)


Drinking spree  酒飲み

 ヨーロッパではアルコール摂取率が若者の間で増えているが、特に北ヨーロッパで著明。 2003年の調査で、1ヶ月に3回飲酒する15〜16歳の若者でみると

 35カ国100,000の学生で調査された。 ユーロの15歳から29歳の男性で死亡原因の27%が飲酒によるもの。

6月26日付  International Herald Tribune

(06-06-27)


コーヒー摂取は心疾患リスクは高めない

 マドリード・アウトノマ大学(マドリード)の、Esther Lopez-Garcia 講師は、大部分の米国人は1日6杯以上のコーヒーを長期にわたり摂取したとしても、冠動脈性心疾患(CHD)リスクを高めないと発表した。

6月1日 Medical Tribune

(06-06-08)


高感度CRP値が高い人
大腸がんリスク1.6倍

 炎症の指標である高感度CRP(C反応性タンパク)の高い人は、低い人に比べて大腸がんリスクが1.6倍。 厚労省研究班により分かった。

 Japan Medicine 4月21日

(06-04-21)


頭のいい」子を作るのは何?
What makes kids "brainy"

 P.Shaw らは、307人の子供について、小児期から成人までの成長期間と脳をMRIで調べた。
 その結果は、知能の高い子供では皮質の特定の部分が7〜11歳にかけて厚くなり、その後10代の間に薄くなるという独特な変化パターンがみられた。知能は、言語知識、非言語知識、論理的思考のテストで測定した。
 「頭のいい」子どもは、単にある年齢の脳の灰白質が多いか少ないかだけではない。知能はむしろ、皮質の成熟の動的性質に関連しているらしい。

皮質の変化の割合

nature 30 Mar 2006 Vol. 440

(06-04-05)


心疾患は冬に多く夏に少ない

 厚労省が発表した「心疾患−脳血管疾患死亡統計 人口動態特殊報告」によると、心疾患、脳血管疾患による死亡は夏に少なく、それら疾患の合計死亡数はがんに匹敵し、また、配偶者がいるほうが死亡率が低いこと等が明らかになった。

主な死因別にみた月別1日平均死亡指数(平成16年)

(06-03-25)


痛風・高尿酸血症のプリン体

 痛風・高尿酸血症の「治療ガイドライン」に食事療法がある。帝京大薬学部の金子希代子 助教授らの調べによると、

 @ 豆もやし、ブロッコリースプラウト、カイワレ大根、タケノコ

   アデニン(A)、グアニン(G)を主としたプリン体を 50mg/100g 以上含有するプリンリッチベジタブル。

 A 紹興酒

   ヒポキサンチン(H)を主としたプリン体を多く(12mg/100ml)含む。(生ビールは3〜7mg/100ml)

 B ビール酵母、クロレラ、ロイヤルゼリー

   それぞれ 100g あたり、3,000mg、3,100mg、400mg とアデニン(A)、グアニン(G)を主としたプリン体を大量に含有する。

 

*** プリン体の1日推奨摂取量は400mg ***

コメント:

 血清尿酸値とメタボリックシンドローム、OSAS(睡眠時無呼吸症候群)との関連性についての報告が最近みられる。
 尿酸血が高いほど、合併症が大きくなるのは確かなようだ。尿酸値が、メタボリックシンドロームやOSASの臨床マーカーとして使えるのかも知れない。  

慶友会

(06-03-22)


PET検診、がんの85%見落とし

 国立がんセンターの調査から、PET(陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが判明した。
 同センター内の「がん予防・検診研究センター」で、2004年2月から1年間に超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受けがんが発見された150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかったという。

3月3日付 読売新聞より

(06-03-06)


Price gouging on drugs ?
ガンの新薬は価格に問題がある?

 ガンの新薬である“アバスチン”は、大腸ガン、乳ガン、肺ガンに大変効果があるという。しかし、年間10万ドル(1千万円)の費用がかかるため、この薬を使いたい人はたくさんいるのに使うことが出来ないでいるという。

2月18-19日付  International Herald Tribune

(06-02-21)


長期の喫煙で乳ガンのリスクがアップ

 フレッドハッチンソン癌研究センター(米国シアトル)研究によると、1日20本で11年間以上の喫煙に相当する高齢女性は、喫煙歴のない女性と比較して乳ガンになるリスクが30〜40%増加することが判明。さらにエストロゲンとプロゲスチンを併用したホルモン補充療法を受けている長期喫煙者は、乳ガンにかかる率が110%増加することが明らかになった。

1月19日 Medical Tribune

(06-01-25)