感染症流行情報 2006~2007年

今年の年末も感染性胃腸炎に注意が必要

 厚生労働省の感染症発生動向調査では、定点当りの報告数は16.9(報告数51000)であり、前週の報告数(定点当り13.6)を大きく上回った。都道府県別で見ると、九州地域が多く、年齢別では、7歳以下で7割以上を占めている。特効薬はなく、治療は対症療法で水分補給を十分に行い脱水を防ぐことが大切。過去10年間では、第50~51週にピークをむかえており、今年も年末にかけて十分注意が必要である。

(07-12-27)

麻疹ウイルスについて

  厚生労働省の報告によると2007年2~11月において、452件麻疹ウイルスの分離・検出が報告されている。遺伝子型別では、310件中298件でD5型が大半を占めている。他にはA型11件(ワクチン接種後2週間以内に採取された検体から)、H1型1件(中国から帰国して5日後に発症した患者から)が検出されている。

(07-12-27)

感染性胃腸炎について

 感染性胃腸炎はウイルス、細菌、真菌、原虫などの病原微生物によって起こり、下痢、腹痛、悪心、嘔吐、発熱、脱水などの症状を呈する疾患群の総称である。下痢に伴う脱水予防のため、体液組成に近いスポーツ飲料など水分摂取を励行させる。経口摂取が困難な場合は輸液(点滴)により水分や電解質を補給する。特に、高齢者や小児では脱水で重篤な状態に陥りやすいため,病状によっては入院加療を考慮する。 今年は、第36~48週までに、ノロウイルス175件、サポウイルス81件、他、A群ロタウイルス2件と圧倒的にノロウイルスが多く、特に第47週(11月26日~12月2日)の報告数は、41003件と大幅に増加している。 都道府県別にみると、長崎県がトップ、次いで大分県、佐賀県の順に九州地域に集中している。他にも、石川県や富山県でも増加していることより、地域性を問わず、今後1~2週間注意していく必要がある。 過去10年間(1997~2006)においては、第49~52週の期間の報告数がピークを迎えており、今年の感染性胃腸炎の報告数も今後更に増加し、間もなくピークを迎えると予想される。

感染症発生動向調査 週報(IDWR) 2007年48週(第48号) より

(07-12-20)

マイコプラズマ肺炎

  市中肺炎の原因菌としては肺炎球菌が最も多いが、それに次ぐ原因の1つとして、インフルエンザ菌やマイコプラズマがあげられる。健康な小児や若年成人の肺炎では本疾患を疑う。若年健常者に発症した肺炎であれば必ず本疾患を鑑別する。乾性咳嗽、頑固な咳、発熱が特徴。 今年も定点当りの報告数は増加傾向。都道府県別では、沖縄、福島、宮城が多い。北海道でも、定点当りの合計平均が0.48に対し、0.22なのでく今後も十分注意が必要。

感染症発生動向調査 週報(IDWR) 2007年48週(第48号) より

(07-12-20)

ノロウイルスについて

 昨年大流行しましたノロウイルスですが、今年もシーズンが到来し警戒が必要です。 ノロウイルスは主にノロウイルスに汚染された食品を摂取することにより食中毒が起こり、手指等を介して人から人へと感染していきます。主症状は下痢、嘔吐、吐き気、腹痛で、通常1~3日で症状は回復しますが、症状が消失後も長期に糞便中に排泄されるため、注意が必要です。 ノロウイルスによる食中毒および感染症の発生を防止するためには、感染性胃腸炎の患者発生動向、ノロウイルス検出情報に注意し、常日頃から健康観察、手洗いなどを励行することが重要であります。無症状の調理従事者による食品の二次感染が原因となった食中毒も見られることから、食品取扱い施設での基本的な衛生管理の徹底が望まれます。また、不適切な吐物の処理のために多数の人が感染しているので、糞便のみならず吐物の処理に特に注意が必要です。 吉田病院では、今まで4日かかっていたノロウイルス検査を約30分で出来るイムノクロマト法による迅速検査薬を導入しました。。イムノクロマト法による迅速検査は、従来の方法からみると検出率は60%程度と落ちますが(PCR法90%以上、EIA法70%以上)、感染判定を早く行うことによって、二次感染のリスクを減らすことができます。

  検査料金は、PCR法14,000円、EIA法3,000円、迅速法2,000円となります。

医療法人社団慶友会吉田病院 臨床検査課

(07-11-26)

吉田病院臨床検査ニュース 5月号より・・・麻疹が流

 麻疹は通年、4月から6月に感染する。首都圏では10代後半から20代の高校生や大学生の間で流行している。早稲田大学では30人の感染が確認されたため、今月21日から29日まで全学休講となったことが報道された。ほかにも日大や駒沢大、中央大、成蹊大などが休講を決めている。
 道内でも胆振管内白老町の北海道栄高校で生徒6人が麻疹に感染または疑いがあり、集団感染を予防するため、22日から5月末日まで臨時休校の措置を講じた。
 室蘭保健所管内の麻疹の感染者数は4月下旬から5月18日までに85人。そのほか数カ所での発生報告がある。このうちの約7割が15歳以上だ。
 麻疹は感染力が非常に強く、感染経路は空気、飛沫、接触感染と多岐にわたる。感染すると約10日間の潜伏期間を経て、発熱、せき、鼻水など風邪に似た症状が3~5日間続く。一度、熱は下がるが、再び高熱が出て、顔・首・全身に発疹が現れる。約1週間で発熱は治まり、発疹は皮膚に色素沈着を残して消退する。
 治療は、下熱剤や咳どめ、鎮痛剤を投与して発熱、発疹が治まるのを待つ対処療法。重症になると中耳炎や肺炎、脳炎を合併症にかかることもあり、後遺症が残ったり、死亡する例もある。
 今年の麻疹は15歳以上の間で流行していることが特徴。麻疹の予防はワクチン接種によって抗体を持つこと。ところが、国立感染症研究所が公表している年齢群別麻疹予防接種率(2006年度)は、年齢が高いほど低い傾向にあり、17歳から40歳以上はすべての年齢層で90%を下回っている。7日から13日の1週間に全国約450医療機関から報告された15歳以上の患者数は今年最多の53人。
 麻疹は子どもがかかる病気とされ、統計は小児科からの報告に基づいている。15歳以上が感染した場合は成人麻疹と分類する。その際の患者数は各保健所が指定している病院からの報告しかカウントされないため、実際の患者数は統計よりも多いとされている。

医療法人社団慶友会吉田病院 臨床検査課
記事引用元:Brain News Network(インターネットサイト)

(07-05-30)

IDWR 感染症週報(2007年第18週)より ~ 主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較

 インフルエンザ:定点当たり報告数は第12週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では秋田県(13.7)、岩手県(10.7)、沖縄県(9.4)、北海道(8.1)、青森県(6.4)が多い。(図1)

図1. インフルエンザのシーズン別・週別定点当たり報告数
(07年は矢印で示した折れ線)

・注目すべき感染症 … 麻しん

 
全国約3,000カ所の小児科定点からの麻しんの報告数は、第18週は18都道府県から88例(定点当たり報告数0.030)と前週の103例(定点当たり報告数0.035)よりも減少したが、2004年以降では前週(第17週)に次いで高い値であった (図2)
 2007年第1~18週までの小児科定点からの累積報告数は476例であった。関東地域を中心とした麻しんの流行は全国に拡大しつつある。
 累積報告数の年齢別割合では、10~14歳の報告割合が33.2%と例年に比べて高い状態が継続している(図3)。

図2. 麻しんの年別・週別発生状況(1997年~2007年第18週)
図3. 麻しんの報告症例の年別・週別群別割合(1997年~2007年第18週)

 全国約450カ所の基幹定点からの成人麻しん(届出対象は15歳以上)の報告数は25例(定点当たり報告数0.055)となり、前週の23例(定点当たり報告数0.051)よりも増加した(図4)。
 
2007年第1~18週までの累積報告数は155例であり、全報告数の約46%が東京都からの報告であるが、より広範な地域から報告されるようになってきている。
 
また、累積報告数の年齢別割合では、20~24歳(36.8%)、25~29歳(21.9%)、15~19歳(20.0%)、30~34歳(12.9%)となっており、20代からの報告割合は更に増加傾向にある(図5)。

図4. 成人麻しんの年別・週別発生状況(1999年~2007年第18週)
図5. 成人麻しんの報告症例の年齢群別割合(2007年第1~第18週)

IDWR 感染症週報(2007年第18週)より

(07-05-24)

ヒトの主な感染症の起源 Origins of major human infectious diseases

 ヒトの主な感染症の多くは、現在ではヒトだけに限られていて動物にはみられない一部の感染症も含め、農耕の開始以降に生じた「新しい」病気である。
 こういった病気はどこから来たのだろうか。なぜ旧世界起源のものが圧倒的に多いのだろう。
 本論文では、これらの問題の答えが、熱帯病と温帯の病気とで異なること、例えば、感染源としての家畜と野生の霊長類の相対的重要性などの点で差異があることを明らかにする。
 動物だけに感染する病原体がヒトだけに感染する病原体へと変貌する際に通ると思われる、5つの段階を特定する。

図:動物だけに感染する病原体が、ヒトだけに感染する病原体へと変化していく5つの段階

 狂犬病(動物からのみ感染)からエイズ(人間からのみ感染)まで、描かれた4つの病原体はそれぞれ異なった段階に到達している。

※第1段階から第5段階までの微生物の進化は、必然的なものではない(各段階で多くの細菌が進化せず残っており、分析のために選択した25の重要な感染症のうちおよそ半分が第5段階に到達していない)。

第1段階:
 自然状態において、動物からのみ 病原菌が検出される
 例:マラリア原虫
 (宿主となる単一の動物種、または宿主と密接な関係のある動物種に特異的な傾向がある)

第2段階:
 自然状態において、動物から人間への感染が起こるが、人間同士では感染しない
 例:炭疽病、野兎病、ニパーウイルス、狂犬病、西ナイルウイルス

第3段階:
 一次感染によって偶然引き起こされた集団感染において、人間同士でごくわずかだが二次感染が発生する可能性がある
 例:エボラ出血熱、マールブルグ病、サル痘ウイルス

第4段階:
 宿主となる動物から、一次感染によって人間に感染する自然なサイクル(森林サイクル)を持つ
 宿主の媒介なしで人間同士の二次感染が長期間起こる

第5段階:
 専らヒトに感染する
 例:熱帯熱マラリア、はしか、流行性耳下腺炎、風疹、天然痘、梅毒
 原則として、第5段階の病原体は以下の方法どちらかによって人間だけに感染するウイルスとなった可能性がある。

Nathan D. Wolfe, Claire Panosian Dunavan, Jared Diamond(カリフォルニア大)
nature 5月17日号

(07-05-23)

IDWR 感染症週報(2007年第16週)より~主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較

 成人麻しん、伝染性紅斑の定点当たり報告数が例年と比べてかなり多い。(図1)

図1 主要定点把握疾患の過去5年間との週別比較(2007年第1~16週) 青のバーで示す本年の定点当たり報告数が赤のラインを超えているときには、過去5年間の週と比較してかなり多いことを示す。

・注目すべき感染症 … 麻しん

 2007年第16週の全国約3,000カ所の小児科定点からの麻しんの報告数は71(定点当たり報告数0.024)であり、前週の報告数34(定点当たり報告数0.011)を大きく上回り、2005年、2006年の報告数の最大値(ともに41)をも大幅に上回った。
 都道府県別では東京都、埼玉県各14、千葉県11、神奈川県10、栃木県、鹿児島県各4、大阪府3、宮城県、茨城県、愛知県、兵庫県各2、奈良県、岡山県、香川県から各1の順であり、東京都、埼玉県を中心とした関東地域からの報告数は55と全報告数の約77%を占めている(図2)。

グラフ引用元:IDWR感染症週報(2007年第16週)

 

慶友会からのコメント

 昔は子どもの病気だったはしかが、高校・大学を中心に流行している。 はしかは免疫がない人には空気感染ですぐに感染し100%発症する。予防はワクチン接種しかない。ワクチン接種しても、はしかの流行が減って追加免疫で免疫が増強することなく弱まってくる。そうするとワクチンを受けていてもはしかにかかってしまうことになる。

  予防接種をしても不安な人は、抗体検査(血液で簡単にできる)を受けると良い。 はしかは子どもでは、比較的軽くすんでも大人になるほど一般的には症状が重くなる。また時に肺炎や脳炎を併発することもある。 感染して発症するまで10日ぐらいかかること、高熱(40℃)がでて、発疹がその特徴。はしか流行のピークはこれから6月にかけて。くれぐれも用心されたし

(07-05-12)

マイコプラズマと百日咳の定点報告数が増加

 マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数が増加している。過去5年間の同時期と比較してその数はかなり多く、青森県、宮城県、新潟県、富山県、大阪府、沖縄県が多い。

 また、百日咳の報告数が過去10年間の同時期と比較してやや多くなっている。こちらは秋田県、栃木県、千葉県、広島県、高知県、福岡県の報告数が多いが、比較的地域による差が大きい。また、20歳以上の感染者の割合が特に多い。

IDWR 感染症週報(2006年第38週)より

(06-10-12)

コレラの蔓延により450名が死亡 - エチオピア、アディスアベバ

 政府の先週水曜日の発表によると、今月450名以上が死亡したエチオピアのコレラにおいて、救助隊が生存者のコレラを恐れているとのことである。 疾病の脅威は、悪天候、最高水位の上昇とあいまって、エチオピアでの救援活動を難航させている。 「コレラの大発生は、生活用水に家畜の死体が浸かっている状況と密接な関係がある」と、エチオピア南地区警察広報のDaniel Gezahenge警部は語った。

8月17日 IHTより

(06-08-21)

中国の大学生が奇病に集団感染

 中国の河南科学技術大学の大学生の間で、高熱や頭痛を伴う原因不明の奇病が集団発生し、患者は400人以上になっている。現在、河南省衛生当局が原因を調査中だが、インフルエンザのA型、B型の可能性はないとしている。

4月4日 産経新聞

(06-04-06)

IDWR(感染症週報)-感染症発生動向調査-3月13日~19日より

1.咽頭結膜炎
2.A型溶血レンサ球菌咽頭炎
  過去5年間の成績と比べて増加しています。のどの痛みを訴えて、風邪の症状と似ています。小児で注意が必要でしょう。
3.マイコプラズマ肺炎
 増加傾向を示しております。全年齢で発症しますが、特に体力の弱っている方、子供、高齢者は注意しましょう。風邪の症状から、高い熱と咳。咳は頑固で、胸部レントゲンで診断されます。高い熱と咳が続くようなら、病院に行きましょう。

 鳥インフルエンザ(H5N1)情報

① 2006年3月24日
 カンボジアで3歳少女が死亡。
② 2006年3月24日
 中国で29歳女性死亡。
 発表によるもののまとめでは、中国で16名が発症し、そのうち11名が死亡している。

(06-04-05)