第8回日本臨床環境医学会総会 抄録より


当院におけるインフルエンザ対策の試み

 

武田寛樹、佐藤 真、加賀崇義
平田一広、吉田 威

医療法人社団慶友会吉田病院

【はじめに】

インフルエンザは、いわゆるかぜ症候群のなかで最も重篤な病態を示すものであり、流行のたびに多くの生命を奪ってきている。このような事態を避ける最も有効な手段はワクチン接種を中心とした予防であることは、先進諸国では広く認められている。一方で、ワクチン接種においては、サーベイランス情報に基づいて流行ウイルスを予測し、それに応じたワクチンを開発する必要がある。その点ではインフルエンザ対策の要はサーベイランスにあるといえよう。

【目 的】

以上のような見地から、われわれは過去のサーベイランス情報をもとにして、流行の規模とそれに影響を与える因子について検討した結果から流行予測を行ったうえ、平成8年よりインターネット等で広くインフルエンザ流行に関する情報発信を行ってきた。同時に1994年以降、日本ではほとんど実施されなくなってきているワクチン接種を中心とした防疫活動を展開してきた。本研究の目的は、これまでの3年間の防疫活動の成果を検証し、今度の活動の指針とすることである。

【結 果】

最近3年間のわれわれの流行予測は、ほぼ的中し、今後にむけて修正を加えて行く必要はあるものの、充分に参考になるものであった。インフルエンザワクチン接種の効果については、過去3年間の入院患者、老健施設、あるいは特定企業社員における検討で、ワクチン接種グループにおいて非接種グループより明らかにインフルエンザの罹患率が低く、ワクチンの有効性が認められた。

【まとめ】

  1. ウイルスの型以外に、気象状況などから検討したわれわれ独自の仮説にもとづいた流行予測をインターネット等で発信した。

  2. 流行予測をもとに広くワクチン接種を勧めた。

  3. ワクチン接種による有効性が認められた。

【最後に】

我が国はインフルエンザワクチン接種率が欧米諸国に比べて極端に低いことをはじめとして危機管理体制がほとんど施されていないのが現状であり、国レベルの早急なインフルエンザ対策を望んでやまない。


日本臨床環境医学会会誌

臨床環境医学 Vol 8 Number 2 1999


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