インフルエンザ情報
’01〜’02シーズンの発信情報

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インフルエンザ流行状況 平成14年第15週

 今季インフルエンザの流行状況は、全国の定点あたりの平均報告数が第15週集計で0.89と1.0を切ったことから、4月15日時点において、ほとんどの地域で流行はほぼ終息したと考えられます。

インフルエンザ 定点当たり報告数の比較

*上記グラフは、感染症発生動向調査週報(厚生労働省/国立感染症研究所)からのデータをもとに作成しております。

慶友会

(02-05-02)


インフルエンザ様疾患、北海道内は1万人超に

 感染症発生動向調査週報第9週(2月25日〜3月3日)によると、北海道内のインフルエンザ定点あたりの報告値は前週比1.22件減の16.57件となったが、依然として高水準が続いている。
 保健所管内別では釧路の33.82件が最高で、室蘭、留萌も30件台、江別、滝川、富良野、中標津が20件台、札幌は16.77件である。
 一方、保育所、幼稚園、小中学校等の休校や学年・学級閉鎖の状況をまとめた、インフルエンザ様疾患発生報告第13報(2月24日〜3月2日)の道内週間患者数は今季最多の1万1706人(累計2万8637人)、このうち欠席者は4575人(同1万1118人)、学級閉鎖は173校(同456校)、休校も16校(同45校)で、それぞれシーズン最高値を更新した。

メディア21 3月12日 より

(02-03-14)


インフルエンザ解熱剤使用の注意

 今季のインフルエンザ脳炎、脳症の患者17例のうち、死亡した4人が使用中止措置がとられている解熱剤を使用していたことが厚生労働省研究班の調査でわかった。

 このクスリとは、

 @サリチル酸系(アスピリン、バファリン)
 Aジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)
 Bメフェナム酸(ポンタール)

 これらは、熱冷ましとして今までは一般的に使われていたクスリです。これからは小児インフルエンザによる発熱には使用しないように。また、手持ちの解熱剤は処分すること。

慶友会

(02-03-12)


今季インフルエンザ流行のピーク予想

 今季のインフルエンザ流行パターンは、流行の立ち上がりが1月にずれ込んでいることや、2月の第2週時点での定点あたり患者報告数、さらに主に流行しているウイルスの型がA/ソ連(H1)型とA/香港型(H3)であることから、1992年シーズンの流行パターンに非常に酷似しています。このことから、今季のインフルエンザ流行のピークは2月最終週から3月にかけて、流行規模は中流行程度と予想します。 

’92年と今シーズンのインフルエンザ流行パターンの比較

慶友会

(02-02-25)


インフルエンザ流行予測(第二弾)

 昨年10月に大流行の可能性ありと予報しました。ただし、Aソ連(H1)型が流行すると、規模は小さくなるとコメントしました。
 例年より流行期が遅れましたが、厚生労働省が行っている学校における「インフルエンザ様疾患発生報告」によると、少なくとも昨年同時期のほぼ4倍となっており、流行がこれから北上することを考えると流行規模も中程度になると予想されます。東北および北海道地区はこれからも注意が必要です。
 厚生労働省/国立感染症研究所のデータによると、現在はAソ連(H1)型が優位に流行しており、その結果流行規模も予想したより大きくならなかったと考えられます。

慶友会

(02-02-19)


香港でニワトリからインフルエンザウイルスA型(H5)の分離
WHO/CSR 2002年2月8日

 香港特別行政区の家禽小売市場、ニワトリ卸売り市場の1箇所の販売所および2箇所の養鶏場で、最近死亡したニワトリの数が増加している。いくつかの検体の予備検査で、インフルエンザウイルスA型(H5)が陽性であった。その結果香港行政区は、流行が発生した小売市場、販売所、2つの養鶏場のニワトリ全個体を処分した。さらに23箇所の養鶏場が封鎖された。
 この流行に関連したインフルエンザ様の患者は、ヒトでは見つかっていない。香港にあるWHOのヒトインフルエンザサーベイランスシステムは、状況を綿密に監視している。

IDWR 通巻第4巻 第5号 より

(02-02-19)


香港における鶏のインフルエンザ

 今年2月に入ってから、香港ではインフルエンザに罹ったと思われる鶏の大量死の報告が相次ぎ、香港政府は約17万羽の鶏を処分することと、感染が確認された養鶏場のある元朗地区や周辺の養鶏場計24カ所を一時出荷停止にすることを決めた。さらに、8日には香港の全ての卸売市場を休業させ、一斉清掃した後に再開させるという発表がなされた。
 今回の鶏に感染したインフルエンザウイルスが、人に感染するタイプかどうかはまだ判明していないという。

毎日新聞より

(02-02-07)


成人インフルエンザ治療のストラテジー

■ 抗インフルエンザ薬の使用

 いずれの抗インフルエンザ薬を使用する場合にもできる限り早く、少なくとも発症48時間以内に使用することが肝要である。

 

インフルエンザ治療のストラテジー


 

抗インフルエンザ薬一覧

抗インフルエンザ薬の比較

  アマンタジン
(商品名:シンメトレル)
ザナミビル
(商品名:リレンザ)
オセルタミビル
(商品名:タミフル)
適応 A型インフルエンザ A型・B型インフルエンザ A型・B型インフルエンザ
剤形 錠剤(50mg、100mg)・粉末 吸入剤(粉末) カプセル(75mg)
投与経路 経口 吸入 経口
投与量 1日100mg(1日2回 朝、昼) 1回2吸入(10mg)、1日2回(計20mg) 1回1カプセル、1日2回(計150mg)
投与開始時期 発症後48時間以内 発症後48時間以内 発症後48時間以内
投与期間 最長7日、症状中止後速やかに中止 5日間 5日間
薬価 1日薬価100円以下 1日薬価約773.6円 1日薬価約792.6円
特徴 抗インフルエンザ薬以外の適応で、比較的広く使われている。A型インフルエンザにのみ有効。米国では1日の投与量は200mgである。 直接患部(上気道)に作用するため、消化器症状などの副作用が生じにくい。
専用吸入器が必要。
カプセルで内服しやすい。また1カプセル単位で処方できるため調節が容易。
使用上の注意点 腎排泄型であり、腎機能障害が予想される患者では減量投与が必要。高齢者および腎機能障害者において副作用の発現に注意。副作用としての神経症状に注意。 吸入剤のため喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者に使用する場合に気道を刺激する可能性がある。吸入のため特殊な吸入器が必要。薬剤の吸湿性が高くブリスターに穴があくと吸入できなくなる。 副作用として消化器症状の出現頻度が高い。慢性呼吸器疾患患者に関する使用も問題ない。糖尿病などの糖代謝障害者で、高血糖をきたした報告がある。
薬物動態 腎排泄 吸入後血中に入った薬剤は腎より排泄、残りの消化管に入った薬剤は、吸収されず糞便中に排出される。肝臓での代謝はない。 肝臓で代謝され、腎より排泄される。
半減期 約10〜12時間 約2.8時間 約7時間
耐性ウイルス 耐性ウイルスの出現頻度は高い 耐性ウイルスの出現頻度は低い 耐性ウイルスの出現頻度は低い

 

■ 抗インフルエンザ薬の予防投与

 抗インフルエンザ薬の予防投与は保険では認められていない。しかし、アマンタジンをはじめいずれの薬剤も予防投与による効果が認められるが、ハイリスク・グループや高齢者の収容施設などで、予測できない流行が危惧される場合などは予防投与を考慮する必要がある。

■ 輸 液

 インフルエンザでは発熱が著明である。したがって発汗も多く、また食欲低下などにより脱水傾向を示すことがしばしばである。抗インフルエンザ薬の副作用防止を含めて補水はインフルエンザにおいて重要な治療の一つである。

■ 解熱薬

 解熱薬を使用する場合の注意事項として、アスピリンはライ症候群の発症にかかわる可能性もあるため使用は控える必要がある。またジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)は最近小児のインフルエンザ脳症で話題となったが、成人での使用では過度の血圧低下や体温低下などが問題となる。

■ 抗菌薬

 インフルエンザの最も多い合併症の1つに肺炎がある。とくに高齢者や糖尿病、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する患者がインフルエンザに罹患し発症した場合には重症化しやすく、抗菌薬の併用を考慮する必要がある。

■ 妊娠・授乳中

 抗インフルエンザ薬は妊婦には安全性が確立されておらず、原則的には投与を行わないほうがよい。

 

メディカル朝日 2002年 1月号

(02-01-05)


小児におけるインフルエンザの解熱と治療

 現在、欧米先進国を中心に、小児に対して使用が認められている解熱剤は、アセトアミノフェンとイブプロフェンのみである。一方、アスピリンは80年以上にわたって、小児の解熱剤の第一選択薬として、広く使用されてきたが、1980年代前半のわずか数年間の疫学調査で、アスピリン摂取とライ症候群(急性脳症の一種で、脳の浮腫および全身の諸臓器、とくに肝臓に小脂肪滴が沈着し、ミトコンドリアのアメーバ状の変形と中心核性という特有の脂肪肝が観察される)の発症には有意の因果関係があるとされ、アスピリンは小児用解熱剤の地位を失った。

 インフルエンザによるほとんどの発熱はウイルス性で、自然に解熱する場合が多く、熱があっても元気で笑顔があれば、経過をみるだけで大丈夫といえる。しかし次ぎのような場合は要注意である。

 発熱自体で解熱剤を使用する場合には、欧米では39.5℃以上で使用することが多い。その根拠は小児が不快に感じる体温は39.5℃以上であることが多いという事実に基づくものである。しかし、体温には個人差があり、そのため不快に感じる体温も各個人で異なることがあり、何度以上で解熱剤を用いると断定できない。日本国内では慣用的に38℃から39℃以上で使用する場合が多い。

 アセトアミノフェンとイブプロフェンの使い方

■アセトアミノフェン(商品名:アンヒバ、カロナール、ピリナジン)

アセトアミノフェンは経口でも坐薬でも1回、10mg/体重kg を投与する。この場合の1℃以上の解熱効果は4時間持続する。投与量を増やす場合には1回15mg/kg までとする。投与間隔は4〜6時間とし、1日の投与回数は4回以内とする。5回以上の投与は避ける。
熱性けいれん予防のために、ジアゼパムの坐薬を使用するときには、まずジアゼパム坐薬を投与したあと、30分、時間をあけてからアセトアミノフェン坐薬を使用する(解熱剤の基剤がジアゼパムによる吸収阻害を防ぐため)。

■イブプロフェン(商品名:ブチレニン、ブルフェン、ユニプロン、ラミドン)

アセトアミノフェンで解熱しない場合には、イブプロフェンを試みる。
イブプロフェンは米国では39.1℃までは 5mg/kg 、それ以上では 10mg/kg と用量を使い分けている。なるべくアセトアミノフェンだけで対応するのが望ましい。

■重要な解熱のさじ加減

 日常の診療での解熱剤使用のポイントは、正常体温まで無理に熱を下げようとしないことである。アセトアミノフェンで、1℃だけでも解熱すれば、随分と気分がよくなり、食べ物や飲み物が摂取できるようになる。
どうしても熱が下がらず、経口摂取が不可能であれば、点滴静注で水分を与えてみる。

 

 イブプロフェンはアセトアミノフェンより解熱効果が強く、抗炎症作用もあるが、アセトアミノフェンと異なり、6生月未満の乳児には使用しないほうが望ましい。

メディカル朝日 2002年 1月号

(02-01-05)


仙台市における12月初旬のB型インフルエンザウイルスの分離

 仙台市の呼吸器系感染症症状を示した患者から2001年12月3日に採取された臨床検体より、 B型インフルエンザウイルスが分離された。
 一般的には、B型インフルエンザの流行はシーズンの後半という印象がある。国立仙台病院ウイルスセンターのウイルス分離に基づく資料によれば、過去16年間、仙台市でこの時期にB型インフルエンザウイルスが分離されたことはない。しかし、1985年の場合、年明け早々B型ウイルスの分離が相次ぎ、その後流行期を通してB型ウイルスの流行があった。また、山形市での成績においても、1988年に同様の傾向が見られている。さらに、前年11月、12月に分離が相次いだ1993、95年にも年明けからB型の流行が始まり、シーズンを通してインフルエンザ流行の半分以上を占めてい た。今回のこの時期の分離が今シーズンの先駆けであるか否かは、現時点でははっきりしないものの、今後B型の流行の動向には注意が必要と思われる。

国立仙台病院ウイルスセンター  近江 彰 岡本道子 千葉ふみ子 伊藤洋子 西村秀一

国立仙台病院呼吸器内科 三木 祐

IDWR感染症週報:通巻第3巻第49号「速報」 より

(01-12-22)


インフルエンザ脳炎・脳症の定義

 高熱に続いて重症な意識障害を伴って発病する。痙攣を伴うことが多いが、必発ではない。インフルエンザ流行中のライ症候群、出血性ショック脳症症候群(HSES)、急性壊死性脳症を含む。

1)確定例 (definite case)

 鼻汁、咽頭スワブ、髄液からウイルス分離したり、抗原検査やPCR法で特異抗原や核酸を証明した例、急性期と回復期の血清抗体価の有意上昇した例

2)疑診例 (probable or possible case)

 ウイルス、抗原、核酸を証明しないが、家族内、交友関係、周囲の状況からインフルエンザを疑った例

 

1.ライ症候群

 @発熱を伴う急性脳症(呼吸停止、痙攣または昏睡)
 A肝障害の証明(S-GOT/GPT、NH3の3倍以上の増加)、または生検、剖検における組織所見
 B脳障害、肝障害を生じる他の諸原因の除外

2.hemorrhagic shock and encephalopathy syndrome (HSES)

 @発熱を伴う急性脳症(呼吸停止、痙攣または昏睡)
 Aショック(血圧50mmHg以下)
 BDIC(血小板減少、PT、PTT延長、NH3正常)
 C肝機能障害(GOT/GPT上昇、NH3正常)
 D腎機能障害

3.急性壊死性脳症

 @発熱を伴う急性脳症(意識低下、痙攣)
 A髄液:細胞増多なし、蛋白はしばしば上昇
 B頭部CT、MRI上左右対称性、多発性脳病変(視床、側脳室周囲白質、内包、被殻、脳幹)
 C肝機能障害(GOT/GPT上昇、NH3正常)
 

日本医事新報 No.4051 「於・東京医大臨床懇話会」 武隈 孝治 ら

(01-12-16)


  インフルエンザワクチンの最新情報

日本医事新報 No.4043 神谷 斉「インフルエンザの最新情報」から抜粋

■インフルエンザワクチンの有効性

Nichol ら (N Engl J Med. 1995)

上気道感染症 25%少ない
休職日数 43%少ない
病院通院日数 44%少ない

Ahmed ら (Lancet 1995)

死亡率 41%減少させた

神谷 ら (厚生省厚生科学研究 平成9〜11年)

高齢者に対するワクチンの有効性

発病リスク 34%〜55%減少させた
死亡リスク* 82%減少させた

*インフルエンザワクチンは死亡率軽減には有効性が高いことが示されている。

 ワクチンの接種回数は、13才以上の成人を含めて1回接種法がとられている。世界の流れも1回接種である。

 新藤らの報告(国立感染症研究ホームページ)によると、1〜3年に1度のインフルエンザの比較的大きな流行に伴って、超過死亡(超過死亡=実死亡数−予測死亡上限値)は増加する傾向にある。

■ 脳炎・脳症について

 平成11年、217人の発症で、そのうち31人が死亡している。(14.3%)
 平成12年、55人の発症で、死亡は6人だった。(10.9%)

 脳炎脳症はインフルエンザウイルスの脳への直接感染ではなく、炎症に対する生体反応として過剰のサイトカインの産生と血管の障害に起因すると考えられている。それに関連して、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン)は禁止、メフェナム酸(商品名:ポンタール)も投与しないように厚生労働省は通達を出している。

(01-12-01)


 健康な若年成人に対するインフルエンザワクチン接種
Influenza Vaccination For Healthy Young Adults

N Engl J Med 2001; 345: 1543-47 [Clinical Practice]
F. Ahmed ら  CDC. アトランタ州. アメリカ

33才の働く女性から、インフルエンザワクチンを接種すべきかどうか質問があった。どう答えたらよいか?

 インフルエンザの罹患率、死亡率を下げる最初に選択される戦略がインフルエンザワクチンである。その効果は絶大で各機関もこれを奨めてめている。

 その対象となる人は・・・

表 : インフルエンザワクチン接種の対象グループ
■ インフルエンザの感染により合併症発生リスクの高い人
  • 65歳以上の高齢者
  • 介護施設や老人ホームの入所者、長期療養をしている入院患者
  • 喘息を含む呼吸器疾患や心臓疾患を持つ人
  • 腎機能障害、ヘモグロビン異常や免疫力低下を起こしている人
  • 長期にわたるアスピリン療法を受けている子供および若年者
  • インフルエンザ流行シーズンに妊娠4〜9ヵ月になる女性

■ 50〜64歳のすべての人

■ 合併症発生リスクの高い人にインフルエンザをうつす可能性大の人

  • 病院や介護施設、老人ホーム等で働くスタッフ
  • 訪問看護、介護を行うスタッフ
  • 合併症発生リスクの高い人の家族(子供を含む)

 インフルエンザワクチンは副作用も少なく、インフルエンザに罹りにくくする、あるいはその症状を軽減したり合併症に罹りにくくするのはよく知られている。

背 景 Background

 成人の15%以下の罹患率だが、一般社会でみると2/3の人が軽いインフルエンザ症状を示している。家庭内感染が10〜19%で、入院したり死亡するのはほとんどが65才以上。表のような危険因子を持つ人の他、妊娠13週以後の人も高リスク群に入る。
 アメリカでは毎年11万4000人がインフルエンザに罹り、2万人が死亡している。死亡者の90%以上が65才以上の高齢者である。

接種率  Rate of Vaccination

 アメリカ国内において、1999年には65才以上の70%、危険因子をもつ18才〜64才の31%がワクチン接種を受けている。国家プロジェクトの“ヘルシーピープル2010”(日本でいう「健康日本21」に相当する)では、65才以上の90%、65才以下の高リスクの60%の接種を目指している。ワクチン接種率が特に低いのは妊婦である。
 1999年の調査では、1/3が病院(診療所)で1/3が職場でワクチン接種を受けている。65才以上、高リスク群と健康管理の従事者は、11月にはワクチン接種を受けたほうがよい。

戦略とエビデンス−健康成人に対する効果 Benefits of Vaccination in Healthy Adults

 健康成人の70〜90%のワクチン接種で、病院受診を34〜44%減らし、また病気休暇を32〜45%も減らしている。抗生物質使用も25%も減ったという。
 インフルエンザの流行期は12月末から3月はじめだから、ワクチン接種は10月から11月末までに受けるのがよい。そうすれば流行期間の間は充分効果がある。

費 用 Cost of Vaccination

 ワクチンは7ドル(約800円)と安く、対費用効果は充分なものがある。

 日本でのインフルエンザワクチン原価は2000円で自由診療の扱いになり、ワクチン接種に対しては各医療機関で自由に価格設定がなされており、だいたい2000円〜3000円の間。65才以上の人に対しては地方自治体での一部負担が始まり、1000円ぐらいの自己負担に11月くらいからなっているところが多い

慶友会

接種の副作用 Adverse Effects of Vaccination

 ワクチンの副作用は注射部位の痛みぐらいのもの。その他の症状は軽く、2日間ほどですっかりよくなるものが多い。
 古いインフルエンザワクチン(ブタインフルエンザワクチン swine-influenza vaccine :1976年米国でブタインフルエンザに近い抗原性を有するウイルスの流行があったが、その後は消失している。1918〜1929年に流行したことが確認されているが、今は全くない)でギランバレー症候群が1976年にみられたが、その頻度は10万人に1例がみられただけだった。
 1992−1993年、1993−1994年に100万人に1人でみられた副作用も、それ以後は全くみられていない。

参考 : Guillain-barre syndrome (ギランバレー症候群)

 急性発症の多発性神経炎で、しばしば上気道感染や消化器症状が前触れとしてある。四肢の筋力低下が急速に進行するが、ほとんどの症例では4週までに極期に達した後、進行は停止する。
 経過は一般に良好で、進行が停止した後2〜4週で回復し始め、6ヵ月以内に回復する。病因ははっきりしない。 

抗ウイルス薬の使用 Use of Antiviral Drugs

 抗ウイルス薬は治療・予防に効果があるが、ワクチンにとって代わるほど有効なものは今のところない。アマンタジン、リマンタジンはA型ウイルスに対しては70〜90%の予防的効果がある。
 一方、ザナミビルやオセルタミビルはA型およびB型のウイルスに対し80〜90%の予防効果があるといわれている。しかしながら、ザナミビルの予防効果については、はっきりとは認められていない。
 これらの薬はインフルエンザ発症後48時間以内に使用すると、病期が1日から1日半短くなる。アマンタジン、リマンタジンの副作用は、不安、うつ症状、不眠などの中枢神経症状が2〜10%にみられる。2%以下に吐き気、食欲不振がみられるといわれている。

実際に使用した経験では、不眠症などのほか、ほとんど副作用はみられていない印象を持っている。

慶友会

 オセルタミビルは4〜6%に吐き気、ザナミビルは時に気管支痙攣や空気の流れが減ることもあり、喘息などの人にはすすめられない。
 これらの薬の価格(5日間使用; 日本では一般に3日間)は、アマンタジンで9.83ドル、リマンタジンで18.87ドル、ザナミビルで44.40ドル、オセルタミビルで53.00ドル。

ガイドライン Guidelines

 ACIP(予防接種諮問委員会)とAAFP(米国家庭医学会)では、家庭内に高リスクの人がいれば、家族の全員がワクチンを受ける方がよいと勧めている。また、ACIP、AAFP、ACP(米国内科専門医会)、ASIM(米国内科学会)では、65歳以上は勿論のこと、50〜64歳の人も全てワクチン接種を受けるように勧めている。

Guidelines for Influenza Vaccination
GROUP HIGH-RISK
PERSONS
CONTACTS OF HIGH-RISK PERSONS HEALTHY ADULTS
HEALTHY CARE PROVIDERS HOUSEHOLD
MEMBERS
50-64 YR OLD 18-49 YR OLD
ACIP Yes Yes Yes Yes If requested
AAFP Yes Yes Yes Yes -
ACP-ACIM Yes Yes - Yes -
IDSA Yes Yes - If requested If requested
USPSTF Yes Yes - - -

結論と勧告 Conclusions and Recommendations

 最初の質問に対する回答は、今まで述べてきたことから類推してもわかるように、ワクチンの効果と副作用からみても誰もが受けた方がいいという結論です。大流行が起きた時には、ワクチンを受けているかどうかにかかわらず予防のためにも抗ウイルス薬を用いるべきです。

(01-11-28)


喘息の成人および小児における
不活化インフルエンザワクチンの安全性
The Safety of Inactivated Vaccine in Adults and Children with Asthma

N Engl J Med 2001; 345: 1529-36

 インフルエンザは、喘息の成人および小児にかなり強い症状を呈するが、ワクチン接種によってインフルエンザとその合併症を予防する。しかしワクチン接種で喘息そのものが憎悪するかも知れないという懸念がある。

 今回の研究では、喘息患者2032例(年齢3〜64才)で、ワクチン接種後2週間の間毎日、接種に関連していると思われる症状、喘息治療薬の使用、喘息による予定外の受診、喘息と関連した学校の欠席または職場の欠勤の記録についてチェックした。主要転帰の評価は、接種後2週間の喘息の憎悪である。

 インフルエンザワクチンは、重症の喘息患者を含めて喘息の成人および小児に問題なく安全に接種することができることがわかった。

 結論として、インフルエンザの罹病率を考えると、すべての喘息患者は年1度のインフルエンザワクチンの接種を受けるべきである。

  The inactivated influenza vaccine is safe to administer to adults and children with asthma, including those with severe asthma should receive the vaccine annually.

 ワクチン接種(VACCINE INJECTION)と偽薬接種(PLACEBO INJECTION)との
症状などの比較・・・・ほとんど、差はなく安全性が確保されているのがわかる
OUTCOME No. OF
PATIENTS IN
ANALYSIS
VACCINE
INJECTION
PLACEBO
INJECTION
P VALUE
Asthma-related outcomes        
No. of symptom-free days 1851 10.4±4.7 10.4±4.7 0.91
Daily symptom score 1851 0.3±0.4 0.3±0.5 0.98
Daily peak flow rate
(liters/min)
1865 347±119 347±118 0.31
≧20% decrease in peak
flow rate from personal best (%)
1865 37.6 36.5 0.31
New or increased use of
asthma medication (%)
1952 7.0 5.7 0.075
≧1 Day's absence from
work or school (%)
1952 6.7 6.7 1.00

Injection-associated
symptoms (%)
       
Rhinitis
Sore throat
Cough
Headache
Myalgia
Chills
Fever
Fatigue
1952
1952
1952
1952
1952
1952
1952
1952
44.8
28.3
46.1
39.6
25.1
12.2
5.1
27.9
45.0
28.7
45.7
37.8
20.8
11.1
5.0
28.6
0.87
0.77
0.74
0.14
<0.001
0.23
0.87
0.51

(01-11-26)


インフルエンザ予防接種ガイドライン

こちらをクリックしてご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/tp1107-1e.html

厚生労働省健康局結核感染症課 2001/11/07

(01-11-26)


インフルエンザ流行予測(再掲)

今年(01’〜02’)は大流行か?

インフルエンザ流行予測(2001年から2002年にかけて)

  1.  周期的には一昨年が中流行、昨シーズンが極めて小流行であり、多くなる年です。

  2.  ウィルスの型でいうと、一昨年はAH1N1型(Aソ連型)とAH3N2(A香港型)の流行でした。AH1N1型(Aソ連型)は流行の主流ウィルスとして久々の出現でした。また、昨年もAH1N1型(Aソ連型)が流行の主流でした。ここ10年以上毎年出現しているAH3N2(A香港型)は昨年も流行しましたがわずかでした。B型は、97年、99年と一年おきに流行していて、昨年もやはり認められました。
     AH1N1型(Aソ連型)は過去の例から連続して流行する可能性が低いので、今シーズンは出てこないと仮定し、B型は一年おきで今シーズンは出ないか出てもわずか、そしてAH3N2型(A香港型)は、ここ12年連続して流行しているので今年も続くと考えてみます。
     これらのことにより、基本的にはAH3N2型(A香港型)主導でわずかなB型と協調して流行するとなれば、流行の多いときの組み合わせです。

  3.  今年の天気の様子をみますと、6月下旬以降西日本から東日本にかけて小雨でした。9月には台風により、北海道、関東・甲信、東海、四国の太平洋側、九州南部、南西諸 島などで降水量が増加しましたが、トータルで考えますと大雨とはいえず、インフルエンザ流行の規模は大きくなると考えられます。

 以上のことから、今年の冬は周期、ウイルスの型、降水量から基本的には大流行と予測します。
 ただAH1N1型(Aソ連型)が協調した場合は、大流行が避けられるでしょう。また、世界的に心配されている感染力の強い新型ウィルスが近々現れてくるだろうと予想されています。この点は今後も注意が必要です。

予測根拠はこちらをご覧下さい

 

インフルエンザへの備え

今年の冬のインフルエンザは基本的に大流行と予測します。お年よりの方や小さなお子さん、受験生の方などは特にインフルエンザワクチンの接種で備えるのがよいでしょう。現在、インフルエンザワクチンの予防効果は決して100%ではありませんが、60%〜80%あると言われています。
接種は、インフルエンザ流行前の11月頃からがよいでしょう。

慶友会

(01-11-14)


The Flu HQ
インフルエンザ110番

nature vol.414 01 Nov  2001   "news feature" より 

 Leading virologists plan to thwart emerging strains of influenza by creating a global laboratory to keep tabs on this ever-changing virus.

 新種ウイルスの出現を監視する国際研究所の設立を、ウイルス学者が提案している。

Can streamlining the analysis of flu viruses (above) avoid a repeat of the 1918 pandemic?

 インフルエンザウイルスの分析を合理化して、1918年の大流行の繰り返しを避けることができるだろうか?

 

 Flu from animals, such as poultry, can infect people, as happened in Hong Kong in 1997.

 1997年香港で、ニワトリからのインフルエンザがヒトに感染した。

Pandemics could be thwarted by spotting new flu strains in animals, says Jeffrey Taubenberger.

 大流行は、動物の新しいインフルエンザウイルスを見つける事で避けられると、ジェフリー・トイベンバーガーは云っている。

(01-11-07)


10月におけるA(H3)型インフルエンザウイルスの分離
IDWR(感染症週報)第42号より

 2001年10月5日、仙台市内の0歳10ヵ月の男児からH3亜型のA型インフルエンザウイルスが分離された。
 これが、2000/01シーズンの名残か、あるいは来る2001/02シーズンのはしりかは今後の解析にかかっている。
 抗原性が2001/02シーズンのワクチン株A/Panama/2007/99(H3N2)と異なる可能性もあるため、今後のウイルス分離の動向を注意深く見ていく必要がある

慶友会

(01-11-05)


 インフルエンザワクチンの自己負担1000円程度に

 65才以上の高齢者へのインフルエンザワクチン予防接種法の改正案が10月31日可決、決定した。これでワクチン接種の費用の一部が公費負担となる。
 札幌市などは11月1日から自己負担1000円で接種するという。

慶友会

(01-11-01)


インフルエンザ − 最近の知見から −

 Medical Tribune 10月25日の武内可尚 先生(川崎市立川崎病院長)と白木公康 先生(富山医科薬科大学ウイルス学教授)の対談から抜粋。

Q. インフルエンザ診断の目安は?
A. まず第一に流行季節であること、第二には症状、その症状は、
 @ 高熱・・・いきなり39〜40℃
 A 全身症状・・・筋肉痛・全身倦怠
 B 喉の症状が少ない・・・痛み、腫れ、赤くなっているかどうか 
Q. 肺炎になったかどうか疑うのは?
A. インフルエンザは1週間程度で治る。1週間以上長引いたり、高熱、湿性の咳、膿性の痰、息苦しさ、胸の痛みなどを伴うとき。
高齢者では、症状がはっきりしないうちに肺炎になっていることが多い。
なんとなく元気がなく、食欲がないときには疑って診察をうけること。また、通常1分間に20ぐらいの呼吸数が、それ以上増えていたら、胸部レントゲンや血液検査(白血球数、CRP)を受けましょう。
Q. 予防と治療は?
A. インフルエンザ・ワクチンによる予防が基本。罹ったかなと思ったら抗インフルエンザ薬(アマンタジン、ノイラミニダーゼ阻害薬)が有効。その他、マクロライド系抗生物質が、IL-12(インターロインキン)やIFN-γ(インターフェロン)の産生を促し、細胞性免疫を誘導することが確かめられている。抗インフルエンザ薬と併用して用いることが勧められる。

慶友会

(01-10-30)


インフルエンザ脳炎・脳症に人種差

 名古屋大医学部保健学科教授 森島恒雄氏による日本小児臨床薬理学会の講演によると、森島氏は、自らが班長と務める厚生労働省のインフルエンザ脳炎・脳症研究班の調査結果などを基に、同疾患が欧米に比べて東アジアに多発する傾向があることから、なんらかの人種的な遺伝的素因が発症に関与している可能性を示唆した。
 森島氏は、近縁疾患を含めたインフルエンザ脳炎・脳症の世界的特徴として、@インフルエンザ脳炎・脳症の欧米での発症頻度は低いA欧米でのインフルエンザ発熱時に伴うけいれんの頻度は日本ほど高くないB熱性けいれんの頻度は、米国は日本の約2分の1C急性壊死性脳症はアジア(とくに東アジア)に多いD川崎病の頻度は日米で大きな差が認められるEウイルス感染に伴う血球貧食症候群(HPS)はアジアに多い−などが認められるとし、「インフルエンザ脳炎・脳症のときに認められる病態または近縁疾患は、なんらかの人種的な特徴が背景に存在する可能性が高い」と指摘。とくにインフルエンザ脳炎・脳症が日本で多発するのは、サイトカインバランスの変動、脳内グリア細胞の活性化、全身の血管内皮細胞の障害などを生じやすい遺伝的素因が背景にあるのではないかと分析している。

Japan Medicine 9月17日より

(01-10-29)


肺炎ワクチンについて

2月15日に東京で行われた「肺炎球菌ワクチン研究会」より要約します。

こちらをクリックしてご覧ください

(01-08-29)


インフルエンザと肺炎ワクチン

 インフルエンザは通常1週間前後で軽快しますが、なかには合併症を起こして長引き、また重症化して死に至ることも少なくありません。毎年多くの高齢者がインフルエンザの流行中に亡くなられますが、その多くは肺炎の合併症が原因です。インフルエンザに罹患した高齢者の約25%が肺炎を合併するといわれています。
 アメリカの報告(MMWR)によると、アメリカ国内の高齢者におけるインフルエンザの流行は、年間18,000人以上の死亡者と48,000人の肺炎およびインフルエンザによる入院患者をもたらしているといいます。
 そのため、ワクチンの接種率向上の目標が掲げられており、2000年国民健康計画によるとインフルエンザおよび肺炎のワクチン接種率を65歳以上の高齢者を含むハイリスク在宅人口において60%以上とするそうです。
 日本国内においても、肺炎がその年に流行るかどうかで65歳以上の高齢者の死亡率が大きく左右されます。この2年ほど前から、インフルエンザワクチンの認識が一般の方々にかなり浸透してきました。アメリカの報告をみると、日本でも老人施設や病院ではインフルエンザワクチンに加えて肺炎予防のための肺炎球菌ワクチン(PPV) を接種するようにしてはどうでしょう。あわせてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や糖尿病などを有する人に、積極的にワクチン接種をすすめていきたいと考えています。

慶友会

■ 肺炎球菌について

 肺炎球菌は副鼻腔、気管支、肺などの呼吸器系に親和性の高い病原体である。名前のとおり、肺炎の原因菌として最も頻度が高く、また慢性気道感染症の急性増悪菌としても重要である。高齢者の場合、いったん発症すると重症化する可能性が大きく死亡率が高い。
 従来より肺炎球菌には抗生物質としてペニシリンが有効だったが、1967年にペニシリンに耐性をもつ肺炎球菌が報告され、現在では肺炎球菌の30〜50%ペニシリン耐性肺炎球菌となっている。

■ 肺炎球菌ワクチンについて

 国内では1988年より「 Pneumovax 」の商品名で販売されている。このワクチンの接種による免疫の持続は5年以上と考えらており、副反応を予防するためにも第一回接種後5年以内は再接種を行わない方がいいとされている。

(01-08-27)


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